こうした高まる要求に向けた製品の1つとして、同社が今回新たに提供を開始したのが、AVB/TSN機能を備えた100/1000BASE-T1対応のイーサネットスイッチ「EES」だ。EESは、最大8台の100/1000BASE-T1車載イーサネットベースデバイスに接続しループすることができる製品。また、シングルタグ付きVLAN(IEEE 802.1Q)とダブルタグ付きVLAN(IEEE 802.1Q-in-Q)を使用して、仮想ポイントツーポイント接続を確立する。
Parra氏は、「ユーザーインタフェースや操作説明は非常にシンプルで、時刻同期の機能も大きく拡張した。エンジニアは、オーディオとビデオの機能を持つ非常に複雑なスイッチを、すぐに使いこなすことができる」と語った。
また、製品の特長について、「タイムドメインで操作できるデバイスは市場に存在せず、時刻同期はポイントツーポイントでしか動作しない。EESは8ポートあるため、全く別の時間同期ユニットを持つ4つの異なるペアを作ることができる。また、PTPv2と車載プロファイルのgPTPという異なる2つの時刻同期規格を1つのデバイスにまとめたのも、とてもユニークな点だ」と強調した。
EESは独自のトラフィックコントロール機能も備えている。「複数のポートから1つのポートに多くの通信ストリームが入ってくる可能性があるため、スイッチがどのパケットの優先度が高いか、どのパケットを今送るべきか、あるいはどのパケットは待てるかを判断できるようになっている」という。このほか、例えばセンサーデータのうちそれほど重要ではないものを除く高度なフィルタリング機能も搭載する。
VLAN、ポートミラーリング、転送またはフィルタリング、ポートセグメンテーションなどの各種機能はWebサーバから簡単に構成可能だ。なお、EESは、「Rosenberger H-MTDコネクター」「TE Connectivity MATEnet コネクター」および「RJ45コネクター」の3種類をラインアップしている。
また、同社は今後マルチギガビットイーサネット対応のメディアコンバーター、キャプチャーモジュールおよびスイッチベースの製品も提供を進めていく予定だとしている。
同社は日本では2017年からガイロジックを販売代理店として展開してきた。車載イーサネットという新しい技術を専門とする同社は、「日本市場はドイツ市場と比べ、やや保守的であると認識している」と分析するが、このEESの日本国内販売を2022年に開始することとした。
Parra氏は、日本市場について「世界有数の自動車市場がある日本は、われわれにとって戦略的に重要な『鍵』となる市場であり、常に注目してきた。ここ数年で車載イーサネットの研究が活発化し、標準化も進みつつあるとみており、日本メーカーがこれから本格的に導入に乗り出していくとみている。そのため、日本市場でわれわれの認知度を上げ、独自の製品/サービスを展開していきたい」と期待を述べていた。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.