2022年8月2日に発表されたAMDの4〜6月期決算によれば、売上高は同70%増の65億米ドル、営業利益は同37%減の5億米ドル、当期利益は同37%減の減の4億米ドル、という実績であった。Xilinx買収に伴う償却負担の増加によって、売上高は急増したものの、営業利益や当期利益は前年を下回る結果になった。しかしこの買収による数字の変動を差し引いても、AMDの業績はIntelの減収基調とは対照的といえそうである。例えばデータセンター向けは、EPYCサーバプロセッサの需要が好調、PC向けにはRyzenモバイルプロセッサが好調、ゲーム機向けも従来製品が好調と、Xilinx以外にも明確なプラス要因が存在する。7〜9月期の売上見通しは67億米ドル前後、4〜6月期を若干上回ると見込んでいる。
元々AMDはIntelと同様にIDM(垂直統合型デバイスメーカー)の事業スタイルだったが、メモリ事業を切り離し、ドレスデンのMPUラインをGlobalFoundriesに売却したことで、ファブレス型への変身を遂げた。結果として設計に注力するファブレスの強みを生かすことができ、同時にIntelがオウンゴールを重ねる隙を見せたことで、相対的に好調さが目立っているように見える。
2022年7月27日に発表されたQualcommの4〜6月期決算によれば、売上高は同37%増の109億米ドル、税引前利益(EBT)は同53%増の39億米ドル、当期利益は同53%増の34億米ドル、という実績であった。Qualcommの主要部門であるHandsets(スマホ向け)が同59%と大きく伸びているのは、5G対応SoC需要が極めて好調であることを示している。第3世代移動通信(3G)全盛時代、一瞬ではあるがIntelの時価総額を抜いたQualcommは、4GになってApple、Samsung、中国スマホメーカーなど、大手顧客向けビジネスを維持することができなかった。しかし5GになってからQualcommの立場は復活し、Qualcommはスマホ業界になくてはならぬ存在に返り咲きつつある。2022年7〜9月期の売上見通しは105億〜113億米ドル、ほぼ4〜6月期並みの売上を見込んでいる。その先の10〜12月期売上としては110億〜118億米ドルを見込んでいる。台数ベースで5%程度のマイナス成長が見込まれるスマホ市場において、かなり強気な数字を見込んでいる。しかし5G対応SoCの単価が4G対応に比べて高いこと、今後5G端末比率が上がることを考えれば、十分に達成可能な数字といえるだろう。
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