前回に引き続き、2022年6月にAppleが発売した、「M2」プロセッサ搭載の「MacBook Pro」について報告する。内部の主要チップを開封し、過去のApple製品に搭載されているチップと比較してみると、Appleが社内でのIP共通化を徹底して進めていることが明らかになった。
前回に引き続き、2022年6月にAppleが発売した、「M2」プロセッサ搭載の「MacBook Pro」について報告する。内部の主要チップを開封し、解析した。
図1はMacBook Proの基板とメインのプロセッサM2の様子である。基板の形状、サイズは2020年に発売になった「M1」搭載版MacBook Proとほぼ同じ。見た目上は、プロセッサだけを入れ替えただけのものになっているが、実際にはプロセッサだけでなく多くの主要チップが別物になっている。
M2プロセッサは、1つのパッケージ内にDRAMを組み込み、モジュール化したものになっていて、同様の構造を取るApple製チップとしては「A12X」「A12Z」「M1」に続く4つ目になる。右側にDRAMが2個、左のプロセッサ側は放熱対策のため金属LIDで覆われた構造になっている。金属LIDはプロセッサ部とパッケージともに接着剤で留められていて、取り外しには若干のノウハウが必要だ。基板上のプロセッサの上と右側には電源ICが設置されていて、電源遮断、電圧変動などの処理が行われている。プロセッサと電源ICはチップセットの根幹なので、Apple以外でのどんなシステムでも近接したところに配置されている。
図2は基板から取り外したM2プロセッサのパッケージの裏面である。基板と接続される端子(シグナルと電源)がびっしりと配置されている。端子数は2500個を超える。
近年、プロセッサとメモリ間の並列化が増加し、低電圧化に伴う電源強化なども必須となる中、膨大な数のGNDピンが必要になっている。そのため、2000ピンを超えるパッケージも多くなっている。中には7000ピンを超えるパッケージもあるほどだ。
M2ではボールの数は2500個超え、ボールサイズは0.28mm、ピッチは0.5mm。ボールの配置の4カ所がくり抜かれた形になっていて、この部分には左下のような端子を持ったシリコンで形成されるキャパシターが埋め込まれている。セラミックコンデンサーを埋め込むケース(QualcommやMediaTekなど)もあるが、Appleでは多くのプロセッサがシリコンキャパシターを埋め込んでいる。この4カ所のキャパシターはプロセッサのDDRインタフェースの直上に位置していて、DRAMとプロセッサ間の電源強化に使われている(詳細はテカナリエレポートで確認してほしい)。
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