表2は、M1とM2において、プロセッサ以外の主要チップを開封し、比較した結果である。シリコン上には、パッケージ名と異なるシリコンネームを確認することができる。不一致のものがほとんどである。プロセッサの性能を最適化するために必須の電源ICはAppleの自社製だ。M2では2個が組み合わされている。M1での電源ICは「TMLT46」と「TMLT47」の2個。M2では「TMND33」「TMND34」の刻印を確認できる。内部の回路構成も異なれば、チップサイズも異なるものとなっている。
表2の右はThunderboltインタフェースのリタイマーチップのシリコン型名である。Intel製のThunderboltチップを2011年から使い続けてきたAppleだが、2022年のMacBook Proでは「TMNB25」というシリコン型名のチップに置き換わっている。型名からもAppleチップであることは明白だ! チップ写真などの詳細はテカナリエレポートでぜひ確認いただきたい。なぜIntel製から置き換わることになったかも、各所セミナーで解説を行っているところである。
表3は、Apple製品における“内製化ヒストリー”を簡単にまとめたものである。表にはないがイヤフォンやスマートウォッチなどで採用されるWi-Fiチップ、Bluetooth Audioチップ、UWB(Ultra Wide Band)通信チップなどもAppleの自社製化が進んでいる。
2010年に「iPhone 4」向けの「A4」プロセッサが内製化され、2020年にはMac向けのM1も内製化された。2022年にはThunderboltも内製化されている。自社でのチップセット化が確実に進んでいるわけだ。
筆者は、チップセットを日本語で「同心円」と解釈している。プロセッサを取り囲む円を拡張することで、カバー範囲を広げていくことが重要であるからだ。プロセッサを皮切りに、電源IC、さらには高速インタフェースとAppleは確実に同心円(チップセット)を広げている。2022年秋には次世代の「iPhone 14」シリーズがリリースされる。引き続きApple製品をウォッチし報告していきたい(iPhone 14関連のセミナーが、既に複数回、10月以降に計画されている)。
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