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Tataとタッグを組むルネサス、インド市場での狙いとは独占インタビュー(2/3 ページ)

» 2022年08月26日 11時30分 公開
[Nitin DahadEE Times]

インドの優秀な人材の獲得を加速

――この方針は多角的な側面を持っているようだが、最近実行した買収案件の他に、どのような戦略を掲げているのか。

Chittipeddi氏 共同イノベーションセンターを設立することで、必ずしも問題に対応するため多くの人数を投入せずとも次のレベルへと進むために必要な人材を獲得できるようになる。インドには多くの優秀な人材がおり、今後も増え続けていく。そこで適切なスキルセットを獲得することが可能だ。しかし、当社にとって問題なのは、どのように差別化を図って市場に参入していくのか、という点だ。

 ルネサスには、「自動車」「IoT(モノのインターネット)」「インダストリアル」「インフラ」の4つの主要部門がある。われわれの手掛けている製品はほぼ全て、この4ついずれかに分類される。もしこの4つに該当しない場合、取り組むことはないだろう。これらの市場は現在、非常に規模が大きいが、当社がプロセッサメーカーを買収しGPU/CPUメーカーと競争するようなことはない。それはいかなる形であれ、自殺行為といえるからだ。同様に、スマートフォンのモデム市場などにも早急に飛び込むことはない。同市場は当社にとって対象ではないからだ。

 当社はインフラ分野では、さまざまな製品を統合したソリューションを提供しているというイメージを持たれているはずだ。IoT分野では、MCUやMPU、ASICS、センサー信号処理デバイスなど最も幅広いポートフォリオをそろえ、幅広い産業分野に対応できている。顧客基盤は当社にとって非常に重要なビジネスとなっているため、最近行ったReality AIの買収は、この戦略に完璧に合致しているといえるだろう。

――Tata Motorsとの協業体制は、グループ全体に及ぶのか。発表会見では、自動車分野に焦点を絞っていく考えのようだったが。

Chittipeddi氏 厳密に自動車分野だけに限定しているわけではない。当社は以前に、Tata Elxsiとの協業を発表しているため、まずは自動車分野から着手するということだ。しかし全般的には、自動車だけでなくより幅広い分野をターゲットとして、インフラ分野やIoT分野でも協業を進めている。IoT分野では、特にTCSとの連携を推進している。TCSは、スマートホームやスマートシティーなどのさまざまな分野において、最高クラスのプラットフォームソリューションを保有しているため、われわれに素晴らしいメリットを提供してくれると考えている。

――インド・カルナータカ州バンガロールにシステムソリューション開発センターを共同で設立するとも数カ月前に発表していたが、既に十分に確立された状態にあるのか。また、今回の新しい発表とはどのような関連があるのか。

Chittipeddi氏 TCSとの共同開発センターの稼働開始は、2022年7月だ。Tata Elxsiの既存センターは、取り組みの内容が非常に特殊だった。新しいTCS共同開発センターは、バンガロール(既存センターに隣接)に置く全く別のセンターとなる。既にスペースを確保しており、拡充することもできる。まずは約50人のスタッフでスタートし、1年ほどの間に約150人まで増やしていくつもりだ。当社にとってTCSとの共同設立は、迅速な拡充を実現できる素晴らしいチャンスとなるだろう。世界的に人材が不足している今、ぜひとも進めたい取り組みだ。

Tata Motorsとの提携による新しい共同開発センターは、Tata Elxsiの既存センターに併設される[クリックで拡大] 出所:ルネサス エレクトロニクス

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