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サプライチェーン専門家がCHIPS法を分析半導体の国内確保以上の効果(1/2 ページ)

IntelとMicron Technology、Samsung Electronics、TSMCはそれぞれ、米国に工場を建設する計画を発表した。これはひとえに、米国内の半導体製造を再構築することを目的としたCHIPS法(正式名称:CHIPS and Science Act)によるものだといえる。サプライチェーンの専門家は米国EE Timesに対して、「この取り組みはICの国内供給の確保にとどまらないはずだ」と語っている。

» 2022年09月29日 13時50分 公開
[Barbara JorgensenEE Times]

 IntelとMicron Technology、Samsung Electronics、TSMCはそれぞれ、米国に工場を建設する計画を発表した。これはひとえに、米国内の半導体製造を再構築することを目的としたCHIPS法(正式名称:CHIPS and Science Act)によるものだといえる。サプライチェーンの専門家は米国EE Timesに対して、「この取り組みはICの国内供給の確保にとどまらないはずだ」と語っている。

半導体産業の将来性を保証し、持続可能性を確立する

Avnetのグローバルセールスイネーブルメントおよびサプライヤー開発担当バイスプレジデント、Peggy Carrieres氏

 世界的なエレクトロニクス商社であるAvnetのグローバルセールスイネーブルメントおよびサプライヤー開発担当バイスプレジデントを務めるPeggy Carrieres氏は「総合的な観点から見ると、この法令は、半導体技術が業界の生命線にとっていかに重要であるかを肯定するものだ。それと同時に、半導体産業の将来性を保証し、持続可能性を確立することも目的としている」と述べている。

 現在、問題となっているのは、米国が、半導体製造に不可欠な材料とサービスを海外の供給元に依存していることだ。ハイテク製品に使用される希土類元素(REE)のほとんどは中国が供給している。シリコンおよびシリコンウエハーは、中国と日本が大量に生産している。半導体製造装置に使用されるネオンガスは、ほとんどをウクライナが供給している。さらに、ICテストおよびパッケージングサービスは、東南アジアに一極集中している。

 事業計画プラットフォームを手掛けるAnaplanのサプライチェーン担当シニアディレクターを務めるTom McDonough氏は、「私が懸念しているのは、現在のモデルに代替案がないことだ。重要な材料を単一の供給元に依存している場合や、それらの材料が単一の地域に一極集中している場合、自然災害であれ政情不安であれ、なんらかの混乱が起これば、それらを使用する商品の入手可能性や価格に多大な影響が及ぶことになる」と述べる。

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックやロシアのウクライナ侵攻の中でこうした限界が露呈し、さらに2021年初頭に始まった半導体不足によって、産業分野全体の生産ラインがマヒした。主な問題は半導体の生産能力にあるが、サプライチェーンの混乱や熟練した技術者の不足、物流面の信頼性の低さも業界を悩ませている。

 Carrieres氏は、「テクノロジー企業はイノベーションを起こしているが、その取り組みは複数のセクターに分断されている」と指摘する。CHIPS法は、国家的な半導体エコシステムの構築という共通の問題を一元化する方法を提供するものだ。

科学と人的資本への投資

 CHIPS法では、材料科学や工学、化学、物理生物科学、地球科学など、基本的なエネルギー科学への資金提供を行うことを定めている。さらに、マイノリティー向けの教育機関やコミュニティーカレッジを含む学術機関全体で、半導体分野の人材育成に向けた、マイクロエレクトロニクス関連の国家的なトレーニングネットワークの形成と、半導体研究課題の設定を求めている。

 総合的な解説策は、半導体産業の繁栄に必要な多くのスキルセットに投資するものである。

 AvnetはArizona SciTech Instituteと連携し、学生を最高科学責任者(CSO)に指名するプログラムに資金を投じている。

 Carrieres氏は「半導体業界に携わる人材育成のために、われわれは小学校の段階まで戻って、CSOなどのプログラムに投資しなければならない」と述べた。

 セントラルフロリダ大学(UCF)のモデリング、シミュレーション、トレーニング学部で学部長で教授のGrace Bochenek氏によると、同学部は現在、セントラルフロリダの企業連合が建設する予定の半導体製造施設/プロセスのデジタルツイン(バーチャルレプリカ)を開発中だという。それと並行して、「UCFは半導体設計を向上させたり、米国における生産能力を高めたりする上で必要な労働力を構築しているさなかだ」と同氏は付け加えた。

 また、Carrieres氏は、半導体業界ではサプライチェーンで働く人材への投資が伝統的に小規模であることも指摘している。IPCやECIAといったエレクトロニクス業界団体は、小学校の生徒や大学の学生を引き込むための教育プログラムを立ち上げている。

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