半導体メーカーは、前例のない世界的な半導体不足の再発を防ぐため、世界各地で製造工場を建設する計画を発表しており、その数は約30カ所に及ぶ。Carrieres氏は「企業はいまだバランスシートに基づき決定を下している。資金は設備投資に割り当てられているが、持続可能なサプライチェーンも極めて重要だ」と述べた。
IPCは、関連するテストやパッケージングの能力を高めることなく米国内の半導体生産を増やしても、半導体サプライチェーンを長くするだけだと指摘している。米国内で半導体を作っても、最終組み立てのために台湾や日本、韓国に送らなければならない状況は変わらない。
専門家筋は、半導体サプライチェーンが1つの国の中で重複し得ることに対し懐疑的である。
IDCのManufacturing Insights and Global Supply Chain Strategies部門責任者であるSimon Ellis氏は「たとえ半導体を米国内で組み立てたとしても、部品は世界中からやってくる。サプライチェーンは50年前から絡まり合っており、その関係を断ち切ることは容易ではない」と述べた。
Carrieres氏は「CHIPS法は、北米企業が代替材料やチップスタッキングなどのより長期的な視点を持つよう促す。われわれは皆、国レベルでより多くのイノベーションが起こるのを見たいと望んでいる」と述べた。
IPCは特に、IC基板とパッケージング能力が米国内では欠如していることを指摘する。
IPCの社長兼CEO(最高経営責任者)、John Mitchell氏は、「これまではシリコンの微細化で実現していた高性能化と高効率化を、今度はチップをより小さなデバイスに集積するパッケージング技術で実現しようとしている。現在、パッケージングが最重要視されており、今回の法案は米国をこの重要な技術におけるリーダーとして位置付けるのに役立つだろう」と語った。
さらに緊急の課題として、米国はPCB(プリント配線板)などの高度なIC基板の開発および生産に投資する必要がある。Mitchell氏はこの点について、「国内ではまだ初期段階の能力しかない」と付け加えた。
【翻訳:青山麻由子、滝本麻貴、編集:EE Times Japan】
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