米国が主導する米台日韓による半導体同盟「Chip 4」について、韓国はこれまで参加に乗り気ではなかった。中国との間で貿易戦争が発生する可能性を懸念していたからだ。しかし、ある情報筋が米国EE Timesに語ったところによると、その韓国がChip 4の交渉に加わったという。
米国が主導する米台日韓による半導体同盟「Chip 4」について、韓国はこれまで参加に乗り気ではなかった。中国との間で貿易戦争が発生する可能性を懸念していたからだ。しかし、ある情報筋が米国EE Timesに語ったところによると、その韓国がChip 4の交渉に加わったという。
米国務省によると、米国は2022年9月27日(米国時間)、米国在台湾協会(American Institute in Taiwan)の支援の下、「U.S.-East Asia Semiconductor Supply Chain Resiliency Working Group(米国東アジア半導体サプライチェーン回復ワーキンググループ)」の予備会談をバーチャル開催し、半導体業界のサプライチェーンを強化するための方法について議論を進めたという。米国と日本、韓国、台湾からの参加者やオブザーバーが議論を展開したようだ。
ワシントンD.C.にある韓国大使館の貿易・産業・エネルギー担当当局者であるSeok-Joong Woo氏は、「米国主導のChip 4同盟は、中国の半導体業界の進展を抑制する既存手法を増強していく考えだ。韓国は現在、半導体貿易/製造において中国と米国の両方に依存しているが、今後はChip 4の設立を巡る初期段階の交渉の場に参加していく予定だ」と述べている。
また同氏は、「韓国は、Chip 4への参加をまだ決定していない。それについて検討するオンラインミーティングの開催日も未定だ」と述べる。
The New York Timesが2022年9月18日に報じたところによると、韓国のユン大統領は、「たとえ中国の怒りを買う恐れがあるとしても、米台日韓の政府で協力し合うべきだ」と述べ、会合への参加予定を表明したという。Woo氏は今回、この報道に対してコメントした形となる。
Chip 4構想は、半導体業界における米国の優位性を脅かす存在となっている中国を排除し、半導体製造における主要4カ国/地域でサプライチェーン同盟を構築するものだ。
世界最大手のメモリチップメーカーであるSamsung Electronics(以下、Samsung)とSK hynixは、販売/製造面で中国に依存しているため、Chip 4のパートナーシップ構築により、事業に打撃を受けることになるだろう。一方、両社とも製造技術や半導体設計ソフトウェアの分野では米国に依存している状況にある。
ワシントンD.C.に拠点を置くコンサルティング会社Albright Stonebridge Groupで、中国・技術政策部門担当シニアバイスプレジデントを務めるPaul Triolo氏は、「Chip 4同盟の協議は現在まだ進行中の段階であり、まだ効力を発揮することができない」と述べる。
また同氏は、「Chip 4同盟は、米国務省が主導しており、輸出規制には関与しないとみられる。同盟が掲げる目標については、まだ公に明示されておらず曖昧なままだが、最先端製造技術のオンショアリングおよびフレンドショアリング(friend-shoring)の実現に向け、サプライチェーン関連の産業政策の一部の要素を統合することを目指していくようだ」と述べる。
地政学的ビジネスコンサルティング企業RANE Risk Intelligenceでシニアグローバルアナリストを務めるMatthew Bey氏は、「韓国がChip 4同盟への参加に後れを取っていたのは、中国との間で貿易戦争が発生する可能性があることを懸念していたためだ」と指摘する。
「韓国にとってChip 4同盟への参加は、大きなリスクだといえる。実際に、中国への半導体出荷や中国国内での投資などを制限する動きは全て、貿易戦争の引き金になる危険性があるからだ。中国が、あらゆる分野の韓国製品に対して不買運動を起こす恐れがある」(Bey氏)
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