オムロンは2022年11月、わずかな色の変化と違いを検知する機器組み込み用カラーセンサー「B5WC」を発売した。潤滑油のメンテナンスなど色の違いを目視で確認していた作業を本センサーで代替でき、作業の定量化や効率化、遠隔監視が可能になる。
オムロンは2022年11月、わずかな色の変化と違いを検知する機器組み込み用カラーセンサー「B5WC」を発売した。サイズは幅8.4mm、奥行き40mm、高さ15.9mmの小型で、本センサーを機械に組み込むことで、潤滑油のメンテナンスなど色の違いを目視で確認していた作業の定量化や効率化、遠隔監視が可能になる。
カラーセンサーは主に白色LED、受光素子、反射光の演算機で構成される。白色LEDを検出物体に照射し、その反射光を受光。受光した光をRGB(赤・緑・青)に分離しRGBデータ(マンセルカラー:10段階)としてI2Cで出力する。
色を検知できる物体は、カップなどの固体全般。液体については、潤滑油などの光が透過する液体であれば反射板を設置することで検知できるが、乳白色や光を透過しない液体は検知できない。検知距離は標準で40mm、レンズを調整することで10〜100mm前後に設定できる見込み。外乱光の影響は検知角度の調整により最小限に抑えている。
製造現場では、産業機械や油圧装置の故障原因になる潤滑油の汚れを人が目視で確認し、経験に基づいて点検交換をしていた。目視作業のため、判断にばらつきが生まれやすい他、点検タイミングが遅れ設備の突発的故障による生産停止ロスや消費エネルギーロスが発生しやすいという問題があった。オムロンは、「FA機器などでカラーセンサーは既に活用されているが、組み込み型の小型なものは本製品が初めてだ。製造現場内の生産ロス最小化で、カーボンニュートラルの実現にも貢献したい」と意気込む。
発売したセンサーは2018年4月からダイキン工業が販売するハイブリッド油圧システム「エコリッチR」でのフィールドテストを実施してきた。油圧装置の作動油は保全担当者が月に1回程度の頻度で点検していたが、油の劣化状態を見える化し一元管理することで、最適なタイミングでのメンテナンスが実現できたとする。ダイキン工業以外にも数社と実証を行い、カラーセンサーの改良に向けた研究、改良を進めてきたとする。
深刻化する人手不足やコロナ禍での移動制限により、メンテナンスの高効率化や遠隔監視ニーズが急速に高まっている。オムロンは工作機械、アームロボット、モーター関連などをメインターゲットにセンサーを販売し、2025年10月ごろまでに販売目標5億円の達成を目指す。
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