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TSMCに「相手にされない」企業を狙う、SkyWaterの戦略100%米国資本のファウンドリー(3/3 ページ)

» 2022年12月02日 15時30分 公開
[Alan PattersonEE Times]
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安全なサプライチェーンの構築へ

 SkyWaterは数年以内に、信頼できるサプライヤーとして認められている同社のフロリダ工場において、前工程および後工程を手掛ける予定だという。

 Sonderman氏は、「『全てを米国内に確保しておきたい』という製品コミュニティーの要望は、かつてないほど高まっている。そこで議論となるのが、『ウエハーのシンギュレーションを行うにはアジアへ輸送しなければならないのに、なぜ米国内でウエハーを製造したいのか』という点だ」と述べる。

 SkyWaterとBRIDGは2022年11月、シリコンブリッジインターポーザーの基本的な製造フローを開発すべくDoDが資金を提供するプログラムにおいて、フェーズ1を完了させたという。シリコンブリッジインターポーザは現在、ヘテロジニアスインテグレーションアプリケーションでの使用が拡大しているところだ。

米国の国家安全保障をサポートするCHIPS法

 Sonderman氏は、「CHIPS法(正式名称:CHIPS and Science Act)が最近可決されたことにより、米国の国家安全保障の脆弱性に対するサポートが提供されるようになった」と述べる。

 「DoDは突然、全ての半導体チップが、米国の管理が届かない場所から入ってくるという状況に追い込まれた。しかし今や、資金提供に関する意思決定の場に参加できるようになったのだ。ここで留意すべき重要な点は、『この膨大な投資の最終的な目標が、経済および国家安全保障に関する重要製品のためのセキュアなサプライチェーンを米国内に確保することである』という点だ」(Sonderman氏)

 同氏によると、SkyWaterは2024年までに、パッケージダイレベルに至るまでの完全なサプライチェーンの実例を、複数件提供できる見込みだという。

 SkyWaterは、米国政府が2023年に、CHIPS法の520億米ドルの補助金提供を開始する時点で、その一部を獲得できるとみているようだ。

 Sonderman氏は2022年11月7日(米国時間)、投資家およびジャーナリストに向けて開催したカンファレンスコールで、「DoDは、最近発表した『Microelectronics Commons』プログラムの一環として、約20億米ドルを割り当てる予定だという。当社としては積極的に関与することで、『Lab-to-Fab(ラボからファブまで)』のコンセプトに基づいたイノベーションセンターの設立を実現していきたい」と述べた。

 「研究開発/イノベーションには、110億米ドルが割り当てられる。それにより国立半導体技術センター(National Semiconductor Technology Center:NSTC)が設立される他、うち50億米ドルは、先進パッケージングやヘテロジニアスインテグレーションに充てられる。当社はこうした中で、良い位置付けを確保できている」(Sonderman氏)

50社以上の顧客企業

 SkyWaterは、50社を超える顧客企業に向けて、8種類の特殊技術プラットフォームを提供している。その中にはMEMS(微小電気機械システム)、標準CMOSチップ、ミックスドシグナルなどが含まれる。

 同社製ミックスドシグナルの主要顧客は、Infineon Technologies(以下、Infineon)である。Infineonは、電力管理機能を搭載したプログラマブルSoC製品を用いることにより、スマートウォッチ「Fitbit」などの新製品に搭載可能な、マイコンおよび各種デバイスを開発している。

 また、台湾のParade Technologiesは、SkyWaterのミックスドシグナル技術をディスプレイデバイスに適用している。

 SkyWaterのMEMS関連の重要顧客であるRockley Photonicsは、マルチアプリケーションやヘルスセンシング、監視アプリケーションなどに向けたフォトニクスICの製造を手掛ける。

 Sonderman氏は、「DARPAは、SkyWaterのカーボンナノチューブ技術関連の主要顧客である」と明かした。

装置と人材の確保が障壁に

 SkyWaterは、2022年第3四半期の売上高が、前年同期比で49%増となる5200万米ドルに達した。また、純損失が前年同期から700万米ドルまで縮小したことで、収益性を実現しつつある。

 半導体業界は過去数年間にわたり急成長を遂げ、間もなく2022年が終わろうとしているところだが、SkyWaterは製造装置やエンジニアの不足による制約を受けているという。

 Sonderman氏は、「今や、製造装置の確保は大問題だ。以前に発注した製造装置の納期が、最大2年かかる可能性がある」と述べる。「エンジニアの確保も非常に困難だ。米国内ではTSMCが工場を建設中であり、Intelもオハイオ州の工場建設を開始している。エンジニア確保に向けた競争は激しくなっている」(同氏)

【翻訳:青山麻由子、滝本麻貴、田中留美、編集:EE Times Japan】

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