図5に、2022年10月に発売されたNVIDIAの「Ada Lovelace」アーキテクチャベースのハイエンドGPU「GeForce RTX 4080/4090(以下、RTX 4080/4090)」を示す。2022年12月発売のAMD「Radeon RX 7900 XTX/XT」は、今回の原稿に間に合わなかった(入荷が原稿締め切りと重なってしまった)ので、次回以降に取り上げたい。
RTX 4080はハイエンドのやや下、ミドルハイという位置付けで、コア数やパッケージサイズ、接続されるGDDR6Xの容量がハイエンドのRTX 4090に比べてやや小ぶりになっている。小ぶりといっても、他チップや過去のNVIDIAチップと比べるとモンスター級である。1シリコンにRTX 4090は763億トランジスタ、RTX 4080は495億トランジスタも搭載されている。Appleの「A16 BIONIC」が160億トランジスタなので、RTX 4090は約5倍の規模となるわけだ。570億トランジスタのApple「M1 Max」と比べても1.3倍以上である。
図6は、RTX 4080/4090のシリコン写真(配線層剥離済)とシリコン上の年号である。RTX 4090をほぼ半分にカットダウンしたものがRTX 4080であることがチップ構成形状からも明らかだ。また開発年号は、なんと2022年(!)である。設計完了>試作(恐らく、一発OK)>量産と非常に短い時間で量産に至っていることが明らかだ。設計段階でのシミュレーション(検証)能力が非常に高いのだろう。近年は設計難易度が上がっているので短期に設計>試作>量産にこぎつけるためには高度な検証システムが必要になっているが、NVIDIAはその点でもトップの実力を持っているといえる。
表2は、NVIDIAの過去2世代のGPU、「GeForce RTX 2080 Ti/GeForce RTX 3090」と新GPU RTX 4080/4090の集積密度の比較である。12nm>8nm>4/5nmと微細化することで著しく集積密度を上げている。少なくとも過去4年は、「2年で集積密度2倍」が実現されている! 今後も微細化によって集積密度は上がり、多機能高機能化は進む。2023年以降も率先してシリコンを見て判断し、シリコンを見て話をしていきたい。
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