半導体不足や政界情勢の不安定な中にあっても新製品ラッシュは続いている。今回は、Amazonの「Echo Show 15」とAppleの「iPhone SE3」を分解、解析する。
2022年春にも多くのメーカーから新製品が発売されている。半導体不足や政界情勢の不安定な中にあっても新製品ラッシュを見ていると、エレクトロニクス業界やそれを使ったサービス業界の止まることのない貪欲さを感じてしまう。Appleの「M2」やAMDの新プロセッサの発表、またチップレット化へのさまざまな取り組みを見聞きしていると、こうした不安定な時期にこそ、次の手を打ち続ける旺盛な取り組みに感銘を覚えるほどである。半導体投資の話や次世代の技術動向についても多くの情報が弊社には入ってくるので、いろいろ言及したいところだが、そちらのテーマについては弊社のコンサルティング業務あるいはセミナーなどでご紹介したいと思う。
図1は2022年4月にAmazonから発売された15.6インチの大型ディスプレイを持つ、スマートディスプレイ「Echo Show 15」の分解の様子である。Amazonは、スマートスピーカーに続くホームIoT(モノのインターネット)製品として、ディスプレイ付きのスマートスピーカーを「スマートディスプレイ」と命名し、2019年から毎年新製品をリリースし続けている。
初代スマートディスプレイは「Echo Show 5」(ディスプレイサイズは5.5インチ)。2020年にはディスプレイが8インチになった「Echo Show 8」、2021年には首振り(カメラ追従)の機能を持つ10.1インチの「Echo Show 10」が発売されている。年々ディスプレイが拡大され、本体サイズも大きくなっているのでスピーカーも大型化して音質も向上している。
2022年モデルは壁掛け(別売スタンドで立てかけも可能)を前提とした大型ディスプレイとなっている。梱包箱の中には本体と電源ケーブルの他、壁などに取り付けるための金具やネジまで付属されている。説明図面の通り設置すれば、壁の一部がスマートディスプレイとなるわけだ。机の上のスペースをふさぐこともなく、“室内の一部”として使える。
15.6インチはTVやPCディスプレイに比べれば小さいが、ネット情報を閲覧するだけのディスプレイとしては十分なサイズである。やや大きめな音声タブレットと捉えれば、むしろディスプレイサイズは大きめだと言えるだろう。分解はネジを外すだけで行える。内部には頑強なフレームがあり、そこに基板、スピーカー、アンテナ、マイクロフォンなどが設置されている。
図2は内部のコンピュータ処理基板の様子である。基板は2つ。1つは電源基板とオーディオ用のアンプが実装されたもの。もう一つが通信や音声処理を行うコンピュータ基板である。コンピュータ基板側にはWi-Fi/Bluetooth通信モジュール、ストレージメモリとプロセッサ(音声処理やディスプレイ処理、オーディオやカメラ処理、広義にAI処理を行う機能などが搭載されている)、プロセッサの電源を最適化するための電源制御ICが搭載されている。
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