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半導体材料の世界市場、2030年に700億ドルへ成長AI関連の先端半導体向けが好調

富士経済によれば、半導体材料の世界市場は2025年の500億米ドル超に対し、2030年は約700億米ドル規模に達する見通しである。内訳は前工程向け材料が560億米ドルに、後工程向け材料が141億米ドルになると予測した。AI関連の先端半導体向け需要が好調に推移する。

» 2025年10月09日 14時30分 公開
[馬本隆綱EE Times Japan]

フォトレジスト、CMPスラリー、パッケージ基板用銅張積層板材料に注目

 富士経済は2025年10月、半導体材料の世界市場を調査し、2030年までの予測結果を発表した。これによると、2025年の500億米ドル超に対し、2030年は約700億米ドル規模に達する見通しだ。内訳は前工程向け材料が560億米ドルに、後工程向け材料が141億米ドルになると予測した。AI関連の先端半導体向け需要が好調に推移する。

 今回の調査は、シリコンウエハーやフォトマスク、フォトレジスト、CMPスラリーなどの前工程向け材料として26品目、バックグラインドテープやボンディングワイヤー、パッケージ基板用銅張積層板材料など後工程向け材料として8品目をそれぞれ対象とした。また、SoC(モバイル)やAIアクセラレーター、NAND型フラッシュメモリ、DRAMの主要半導体デバイス4品目の市場についても調べた。調査期間は2025年5〜8月。

 AI関連半導体の需要増加に伴い、半導体材料も高付加価値製品の販売が好調で、2024年に市場はプラス成長へ転じた。今後も、データセンターへの投資やAI関連を中心とした先端半導体の需要拡大が見込まれ、材料市場も順調に拡大すると予測した。

 製造工程別にみると、前工程向け材料は今後、裏面配線技術やTSV(シリコン貫通電極)によるウエハー積層技術の進化などによってウエハーの使用量が増え、材料全般で伸びが期待できるとする。中でも、フォトレジストやフォトマスク、シランガスなどで大幅な伸びを予測した。

 後工程向け材料は、ボンディングワイヤーが占める比率が高い。このため、地金価格の高騰もあって2024年は大幅に伸びた。FC-BGA基板向けのパッケージ基板用銅張積層板材料、層間絶縁材料なども需要拡大が期待できるとみている。

半導体材料(前工程、後工程)の世界市場[クリックで拡大] 出所:富士経済 半導体材料(前工程、後工程)の世界市場[クリックで拡大] 出所:富士経済

 今回の報告書では、注目市場として3つの製品を挙げた。「フォトレジスト」「CMPスラリー」「パッケージ基板用銅張積層板材料」である。

 「フォトレジスト」市場は、2025年見込みの25億米ドルに対し、2030年は36億米ドルと予測した。2025年はAI関連の先端ロジックや、DRAMを積層した広帯域メモリ(HBM)向けの需要が堅調に推移した。今後は、汎用半導体向けにg/i線用やKrF用が、先端半導体向けでは極端紫外線(EUV)リソグラフィ用の伸びに期待している。

 「CMPスラリー」市場は、2025年見込みの20億米ドルに対し、2030年は27億米ドルと予測した。2025年はメモリやロジックの生産稼働率がピーク時を下回ったため、前年比で約5%の伸びにとどまった。中長期的には、先端ロジックの配線層数の増加やトランジスタ構造の変化、3次元(3D)NANDフラッシュの高層化などが市場拡大をけん引すると予想した。

 「パッケージ基板用銅張積層板材料」市場は、2025年の15億米ドルに対し、2030年は20億米ドルを見込む。2025年はデータセンター関連のサーバや通信機器で用いられる半導体用パッケージ基板材料の市場が拡大した。今後も同様の傾向が続き、高単価製品の需要増が期待できるという。

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