トレックス・セミコンダクターは2023年2月2日、コイル一体型昇圧DC-DCコンバーターの新製品「XCL104/XCL105」シリーズを発表した。
トレックス・セミコンダクターは2023年2月2日、コイル一体型昇圧DC-DCコンバーターの新製品「XCL104/XCL105」シリーズを発表した。コイル一体型による小型化、設計の容易化、低ノイズ化などの特長に加え、従来比1.4倍の出力電流と、5%の高効率化を実現。小型低消費かつ多機能/高性能が要求される産業機器、IoT(モノのインターネット)機器などでの採用を狙う。サンプル価格は308円(税込み)で、同日から販売を開始した。
同社はコイルをDC-DCコンバーターICと一体化した、独自の「micro DC/DC」コンバーターを展開し、ラインアップを拡充している。同製品はICとコイルの一体型によって、電源回路の小型化や部品選定の時間の削減、故障リスクの低減、開発工期の大幅な短縮ができるといった特長がある。
また、一体化によって基板レイアウト上でコイルパターンが最短となることから、低EMI(放射ノイズ)も実現、通信チップやセンサーなどの直近にも配置が可能という。同社の説明担当者は「特に、部品選定や評価がほぼ不要になる設計の容易化は大きなメリットだ。DC-DCコンバーターを安定動作させる設計のマッチングにはノウハウがかなり必要になるが、コイル一体型であれば容易に導入可能だ」と語っていた。
今回発表したXCL104/XCL105シリーズは、1.4Aドライバーを内蔵し、従来品であるXCL103シリーズと比べ1.4倍の出力電流と5%の高効率化を実現した昇圧micro DC/DCコンバーターの新製品。出力電流は3.3V入力、5.0V出力時で590mA、1.8V入力、3.3V出力時で420mAとなっている。
高出力電流にすると従来品より発熱も大きくなるという課題が出るが、新製品では、放熱性能の高い独自の「クールポストタイプ」パッケージを採用し、この課題に対応している。クールポストタイプは、IC上部にコイルを実装したうえで、樹脂モールド内を貫通する銅の電極端子(「クールポスト」と呼ぶ)をダイを挟む形で2つ設けた構造で、コイルの熱をクールポストを通じて基板側に逃がすことができ、発熱の低減を可能としている。また、IC側も放熱パットを基板側に直接搭載することで放熱性を向上し、結果として従来品と比べ50%以上の放熱特性改善を実現しているという。
XCL104/XCL105のパッケージサイズは3.0×3.0×1.7mm。動作開始電圧は0.9V、出力電圧は1.8〜5.5Vの範囲で、0.1Vステップで設定可能となっている。また、同社は今回、昇圧ICとして標準的な負荷切断とCLディスチャージ機能を備えた「負荷切断タイプ」の他、「バイパスタイプ」「出力ORタイプ」を用意した。
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