バイパスタイプは、マイコンなどの広い動作電圧範囲に対応し、動作モードに応じて昇圧と電池電圧スルーを切り替えるタイプだ。マイコンがスリープ時はバイパス機能によって入力と出力を導通し1.8Vをそのまま供給、3.3Vのような一定電圧が必要な時のみ昇圧するといった動作によって、トータルの消費電力削減につなげ、通信やセンサー搭載機器のピーク電流の対応をしつつ、低消費電力化や電池の長寿命化を実現する。
一方、出力ORタイプは、外部電源と電池や、バックアップ電池がある際の2つの電源ラインのOR接続を制御不要で自動切換えするタイプだ。SBD(ショットキーバリアダイオード)を用いたOR回路では、順方向電圧による損失や電圧低下/変動、逆バイアスのリーク電流などの課題があるが、出力ORタイプを用いればSBD不要でOR接続できる。また、外部/主電源ロス時、切換えの制御不要で瞬時に昇圧し電源供給が可能となる他、電池の放電電流を最小限に抑える低消費設計によって、外部/主電源供給時は電池からの消費電流は0.1μAに抑えられる。説明担当者は、「一番の使いどころはバックアップ電池搭載機器での使用だ。バックアップ回路は瞬電対策などで、産業用途でも必ず必要となる。工場設備に導入するレトロフィットなセンサー機器など広い用途での需要を見込んでいる」と語った。
XCL104/XCL105シリーズの動作温度範囲は−40〜105℃と、80℃までの対応だった既存品から向上した。同社は、小型低消費かつ多機能/高性能が要求される産業機器、IoT、モバイル、ウェアラブルおよび電池駆動時間を重視する全ての機器に対応するとしている。説明担当者は、「従来品と比べ機能や能力、温度範囲を向上し、どんなところでも使用できる汎用昇圧DC-DCという立ち位置で開発したが、これらの特長をもとに、産業用途での拡大を狙っている」と語っていた。
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