モビリティ分野の売上高は、一部製品で民生用需要の低迷の影響を受けたものの、2022年後半からの自動車生産の回復により前年比4%増の1806億円と増収。一方、のれんおよび無形資産の償却費の影響で営業利益は15億円の赤字となっている。
イノベーション材料分野の売上高は、原材料価格高騰に伴う値上げにより製品販売価格は上昇したが、販売数量が減少したため前年比2%減の1411億円となり、営業利益も原材料価格高騰によるコスト増と価格転嫁のタイムラグにより同28%減の98億円となった。ケミカル分野の売上高も同様に、原材料価格の高騰により前年比22%増の5278億円と増収も、コスト増により営業利益は同34%減の249億円となった。
2023年12月期第1四半期(1〜3月)の業績は、売上高が3200億円、営業利益はマイナス140億円になると予想した。染宮氏は、「全社的に苦戦を強いられるだろう。特に、半導体/電子材料事業では、HDDの著しい需要減を受けて行われた顧客側の在庫調整や生産調整の影響を受け、赤字が見込まれる」と説明した。
一方、2023年通期(1〜12月)の業績予想については、「半導体・電子材料分野における需要および在庫調整の動向は不透明さを増しており、現時点では合理的な予想の算定が困難であるため」として発表を見送った。
今後について高橋氏は、「不採算事業の構造改革やポートフォリオの再編、不稼働資産の売却および拠点の統廃合を通じて収益性を抜本的に改革し、2025年までの長期目標として掲げている利益目標(EBITDAマージン20%)を達成する」とした上で、「シリコンサイクルは存在するが、トレンドは絶対に上がる。今後10年ほどのスパンで考えた時に、厳しい状況だからといって投資を止めてしまうと、次に波が来た時に売り負けてしまう。実行段階で投資を調整することはあっても、計画段階で投資を止めるつもりはない」と強調した。
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