Neural Spotには、ヘルス(ECG分類子)や音声検出/処理の例などを備えたオープンソースのModel Zooも含まれている。音声処理は、音声アクティビティー検出やキーワード検出、「Speech to Intent(音声からインテント)」などに向けたモデルを用意する。Ambiqが現在開発を進めているAIモデルは、音声強調(バックグラウンドノイズキャンセレーション)の他、人物検知や、物体の分類を行う「Object classification」などを含むコンピュータビジョンモデルをターゲットとしている。
Neural Spotは、Ambiqのライブラリ「Ambiq Suite」をベースとして構築されている。Ambiq Suiteは、電力/メモリ構成を制御して、センサーとの通信や、SoC(System on Chip)周辺機器の管理などを行う。Neural Spotは、サブスレッショルドハードウェアにあまり詳しくないAI開発者に向けたプリセットを使用することにより、これらの構成オプションを簡素化している。
Morales氏は、「新型SDKは、全ての第4世代チップ『Apollo』向けに開発されているが、中でも特に『Apollo4 Plus SoC』は、常時接続のAIアプリケーション向けとして最適だといえる。2Mバイトの組み込みMRAMと2.75MバイトのSRAMを備えたArm Cortex-M4を搭載する。また、グラフィックスアクセラレーターを1つと、MIPIレーンを2つ備える他、一部の品種はBLE(Bluetooth Low Energy)をサポートする」と述べる。
「Apollo4 Plusは、MRAMから実行した場合の消費電流が4μA/MHzと低く、高度なディープスリープモードも備える。このような低消費電力であることから、リソースに制約のある環境でAIを実行する場合でも、実行可能な処理の種類を大幅に増やすことが可能だ」(Morales氏)
また同氏は、「通常、レイテンシや電力要件のために、例えば精度を下げたり、浅いモデルを作成したりと、さまざまな妥協点を見いださなければならないが、その必要もなくなる」と付け加えた。
さらに同氏は、「AIアクセラレーションは、省電力化を実現する上で重要だが、センシングデータや、A-D変換、メモリ周辺のデータ移動など、データパイプラインの他の部分も同様に重要だ。例えば、オーディオデータを収集するには数秒間を要するが、推論は数十ミリ秒で完了する。このようにデータ収集は、電力使用量の大半を占めているのだ」と述べた。
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