米国の調査会社Gartnerの日本法人ガートナージャパンは2023年2月20日、記者説明会を実施し、同社シニアディレクターアナリストを務める山地正恒氏が、2022年の半導体市場の分析や2023年の見通しについて詳細を語った。
米国の調査会社Gartnerの日本法人ガートナージャパンは2023年2月20日、記者説明会を実施し、同社シニアディレクターアナリストを務める山地正恒氏が、2022年の半導体市場の分析や2023年の見通しについて詳細を語った。
Gartnerによれば、2020年までは4000億米ドル台が最高だった半導体市場は、2021年に急成長し5000億米ドルを一気に突破。そして2022年、前年比の伸びは1.1%と微増だったものの、初めて6000億米ドルの大台を超える結果となった。半導体市場をエンドマーケット別にみると、車載、有線ネットワーク、民生、産業分野が伸びた一方、主要市場であるPCやサーバ、スマートフォン低迷の影響が大きく、コンピュータ分野が前年比8.4%減、スマートフォンを中心としたワイヤレス分野が3.8%減となったほか、SSDの価格下落の影響からストレージ分野も4.3%減と苦戦した。山地氏は、「DRAMであれNAND型フラッシュメモリであれ、メモリが多く使われる領域が落ち込んだ」と説明。一方、「メモリをあまり使わない車載や産業などの分野はかなり伸びた」とも強調、車載、有線ネットワーク、産業分野はいずれも2桁パーセント台と大きな成長を見せたという。
2022年のベンダー別半導体売上高ランキングをみると、1位のSamsung Electronics(以下、Samsung)が前年比10.4%減、2位のIntelが同19.5%減とそれぞれ大幅減で、メモリの落ち込みの影響が表れた結果となった。なお、Intelについては民生PC市場の不調が大きいうえ、今回、10位にランクインしたAppleが、PCに独自プロセッサを採用するなど、自社製半導体の比率を高めていることも、業績低迷に影響を及ぼしているという。
一方、スマホ市場が全体として苦戦した中で、Qualcommはハイエンドを中心に受注を増やし、同28.3%増の成長を見せた。これは、特にSamsungが自社スマホのプロセッサについて、自社製からQualcommの「Snapdragon」への置き換えをすすめたことが要因という。また、Broadcomも、オンライン会議やストリーミングサービスの普及などを背景に通信インフラへの投資が活発だったことから、同26.7%増の成長をみせた。AMDもゲームが好調だったほか、Xilinxの買収効果があり同42.9%増となった。
なお、同ランキングのトップ10には日本勢の姿はない。日本勢トップは16位のルネサス エレクトロニクスで、17位にキオクシア、18位にソニーと並んでいる。
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