「RedCap」は、ウェアラブル機器など、小型で低消費電力のIoT機器を、5Gで接続しやすくするための拡張機能だ。本稿では、RedCapの仕組みや利点を解説する。
携帯電話業界では、IoT(モノのインターネット)デバイスをインターネットに接続するために、いくつかのワイヤレス技術を導入してきました。表1に示すセルラーIoT技術には、「LTE Cat M」「GSM IoT(EC-GSM-IoT)」「NB(Narrow Band)-IoT」などが示されています。いずれも、セルラー接続の追加コストを最小限に抑えて、リモート無線アクセスの費用対効果を最大化するように設計されています。
NB-IoT (Rel-13) | LTE-M (Rel-12 / 13) | EC-GSM (Rel-13) | |
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通信範囲、リンクバジェット | <15km、164dB | <11km、144dB | <15km、164dB |
周波数帯域 | ライセンス 700M〜900MHz 200kHz or 共有 |
ライセンス 700M〜900MHz 1.4MHz or 共有 |
ライセンス 800M〜900MHz 2.4MHz or 共有 |
通信速度 | <100kbps | <1Mbps | - |
通話サービス | なし | あり | あり |
バッテリー寿命 | 10年以上 | 10年以上 | 10年以上 |
出所:キーサイト・テクノロジー |
最新のセルラーIoT技術は、5G(第5世代移動通信)を活用できる最初の技術といえます。3GPPのリリース17には、ウェアラブル機器やセンサー、監視装置、その他のIoT機器といったRedCap(Reduced Capability)デバイス(機能を削減したデバイス)が5Gネットワークで動作できるようにする拡張機能が含まれています。
その名の通り、5G RedCapデバイスは、5Gを介してインターネットに接続しますが、5Gネットワークで動くスマートフォンや他の高度なユーザー機器(UE)のような機能や性能を完全に備えているわけではありません。5Gのスループット、帯域幅、遅延機能に対応しておらず、消費電力やコストの面で制約がより厳しいのが一般的です。RedCapデバイスは、5Gが持つメリットを享受しつつ、少ない5G機能を活用して、機能、コスト、消費電力の最適なバランスを実現します。
3GPPは、RedCapデバイスのユースケースとして、産業用センサー、監視装置、ウェアラブル機器の3つを挙げています。3GPPのTechnical Report(TR)38.875では、表2に示すように、各ユースケースの最大データレート、エンドツーエンド(E2E)レイテンシ、サービスの可用性を規定しています。
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