RoT(Root of Trust)シリコンの設計をオープンソース化すべく、Googleが2019年発表したプロジェクト「OpenTitan」が着実に進行している。プロジェクトの管理を担うlowRISCが、これまでの成果を報告する。
2019年、RoT(Root of Trust)シリコンの設計をオープンソースとして提供する世界初のプロジェクト「OpenTitan」が始動した。Googleが発表したもので、同プロジェクトの管理は英国の非営利団体lowRISCが担っている。
このプロジェクトは、次世代の汎用開発フレームワーク「Silicon Commons」に向けた実験の場としても利用されることになった。この革新的なワークフローは、オープンソースのソフトウェア開発のベストプラクティスと、半導体設計手法とを融合し、企業や学術界のさまざまなパートナーとの連携によって、再利用可能な高品質のシリコンIP(Intellectual Property)を作り出すことが可能だ。
lowRISCは今回、この革新的かつ多彩な組織によるアプローチで、OpenTitanプロジェクトが非常に重要なマイルトーンとなるテープアウトが実現されたことを、米国EE Timesにて発表する。それは、商用シリコンの実現に向かう中で最も重要なウェイポイントの一つとなる、「オープンソースRTL(レジスタ転送言語)のフィーチャーフリーズ」だ。
これは、オープンソースのシリコン開発において、革新的な時代が到来することを意味する。なぜなら、OpenTitanのプロジェクトでハードウェアRoT向けに開発された商用グレードの設計検証や、トップレベルの試験、継続的インテグレーション(CI)などの開発リポジトリが、今やGitHubで入手可能になるからだ。
さらに、柔軟性を備えつつも構造化されているSilicon Commonsのワークフローは、高品質かつ文書化された相互運用可能なブロックや、トップレベルのIPなどを重視しており、単一のディスクリート半導体向け設計にとどまらない飛躍的な進歩を実現している。
OpenTitanのIPコンポーネントは、再利用可能で堅ろうな上、確かな来歴を持ち、異なるターゲットに対して直接再構成できるため、RoTのSoC統合を目指すわれわれのワーキンググループは、並行して急速な進化を遂げることができた。実際にこのパートナーシップは、既に順調に軌道に乗っており、最初のディスクリート半導体のテープアウトと同様のタイムフレームで、2023年後半にも、業界初となるOpenTitan準拠の統合型RoT設計コンプレックスを提供できる予定だ。
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