清水氏は、車載用イメージセンサーについての成長見通しも説明した。ソニーの注力市場である200万画素以上の車載カメラの数量市場は、2030年度までCAGR13%と堅調に成長を続ける見通しという。グローバルトップ自動車メーカー20社との取引見通しについても、2022年度実績は55%と順調に推移。2025年度の見通しも、前回発表から10ポイント増の85%に上方修正した。
清水氏は、今後の車載イメージセンサー市場機会の拡大について、「2025年くらいまでの商談はほぼ確立できていて、これから2026年、2027年に向けた商談および開発テーマを決めていく。例えば2025年くらいまでのレンジでみると、これまで300万画素や500万画素が中心だったのが500万画素、800万画素が中心へと変わり、その先にはさらに解像度を上げたセンサーが増えてくるという流れがある。さらに、自動運転(AD)と先進運転支援システム(ADAS)では、搭載数が7〜8個程度と思っていたが、もう少しセンサー数を増やすとか、解像度を上げもう少し遠くを見るとか、いかに死角をなくすようにするか、といった動きがある」とも説明していた。
また、ソニーはセンサーに加え、ソフトウェアの提供も実施。車外環境を高精度に認識しその結果をもとに自動で地図を生成、スムーズな駐車支援を実現するソフトウェアなどを開発しているといい、2023年4月に発売された日産の新型「セレナ e-POWER」に搭載されている「プロパイロット パーキング」機能にも、ソニーのソフトウェア技術が活用されていることを例示した。
清水氏は、こうした取り組みから、2022年度、車載用イメージセンサー売上高を「大きく伸ばすことができ、飛躍の年となった」と説明。車載イメージセンサーの金額シェアでも、2021年度の実績9%から2022年度には25%と大きく拡大している。清水氏は、「今後の商談獲得見込みを踏まえ、2025年度に39%の金額シェアを獲得することを目指す」と強調した。
ソリューション領域では、同社のAI(人工知能)処理機能搭載インテリジェントビジョンセンサー「IMX500」などを活用したソリューションを効率的に開発、導入できるよう支援するプラットフォーム「AITRIOS」について説明。同ソリューションでは、従来、映像や画像情報が十分に活用されてこなかった市場を第一のターゲットとしているといい、小売りや物流業界での実証実験事例を紹介していた。
また、同社は2023年4月、英国Raspberry Piへの出資を発表したが、清水氏は、「両者の提携を通じ、世界中のラズパイユーザーにIMX500とAITRIOSを提供し、AITRIOS上で使用できるアプリケーションやAIの開発を加速していく」と説明した。同社は、AITRIOSのエコシステム構築のため、今後もさまざまな企業とのパートナーシップを検討して行く方針。清水氏は、「将来の事業の柱とすべく、この領域の研究開発投資は継続していく」とも語っていた。
清水氏は、こうした市場の成長機会を捉えることで、以前から掲げている2025年度にイメージセンサー市場での金額シェア60%という目標について「達成できると考えている」と述べた。なお、2022年度の実績は金額シェア51%、2023年度の見込みは金額シェア54%となっている。
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