ソニーセミコンダクタソリューションズのCEO(最高経営責任者)である清水照士氏が、同社事業の現状や今後の展望、成長戦略などについて語った。
ソニーグループは2023年5月25日、イメージング&センシングソリューション分野(I&SS)の事業説明会を実施。ソニーセミコンダクタソリューションズのCEO(最高経営責任者)である清水照士氏が、同事業の現状や今後の展望、成長戦略などについて語った。
清水氏は、まず2022年度の業績について振り返り、「世界的な景気悪化を受けてスマートフォン市場が低迷。これによりイメージセンサー市場も、市場在庫が高止まりし、伸び悩む一年となった」と説明した。
ただ、こうした厳しい市場環境にあっても、スマホ向けイメージセンサーの大判化トレンドから、「われわれの主戦場であるスマホの高級機種市場は比較的堅調だった。為替の好影響もあり、増収増益を達成することができた」とまとめた。
一方で、2023年度については、「いっそう厳しい事業環境を想定している」とも言及した。ソニーは2023年4月の決算発表時、I&SS分野は2023年度、増収減益となる見込みを発表している。清水氏は、「スマホ市場は引き続き軟調に推移するとみており、センサーの在庫高の状況も当面は反転が見込めず、特に上半期における需要低迷は続くと見ている」と見立てを示した。同社は、市場が2023年度下半期から緩やかに回復することを期待するものの、「決して楽観はできず、為替を含めて当社を取り巻く事業環境は不安定なものと認識している。2023年度は一層危機意識を高め、需要動向を踏まえた慎重な事業運営を進めていく」(清水氏)
同社は、こうした足元の事業環境を踏まえ、2030年度までのイメージセンサー市場見通しを、2022年の事業説明会での発表時点から見直した。市場の過半数を占めるモバイルイメージング領域については、2022年度実績が2021年度並みに低迷したことを受け、前回発表の見通しと比較し、数年遅れることを想定している。
センシング領域については、モバイル分野では引き続きアプリケーション不足の状況が続くものの、車載やインダストリー、セキュリティ分野については、足元の市況悪化は織り込みつつも中長期的に安定的な順調な成長を見込んでいる。
市場全体としては、モバイルイメージング領域の影響から数年遅れとなる見通しだが、2030年度までの年平均成長率(CAGR)は9%と前回見通しから変更はなく、清水氏は、「イメージセンサーは今後も成長市場であると認識している」とした。
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