情報通信研究機構(NICT)は「ワイヤレスジャパン」(2023年5月24〜26日)に出展し、15km先のドローンを遠隔制御できる無線技術などを展示した。
情報通信研究機構(NICT)は無線技術/ソリューションの専門展示会「ワイヤレスジャパン」(2023年5月24〜26日/東京ビッグサイト)に出展し、15km先のドローンを遠隔制御できる「コマンドホッパー技術」や、複数のドローンを同時に遠隔制御できる「ドローンマッパー技術」を展示した。
コマンドホッパー技術は、山や建物に隠れて電波が直接届かなくなるような場合でも中継器を搭載した別のドローンを経由(ホップ)して、電波を「バケツリレー」のようにつなぎ遠方のドローンまで伝えることで、長距離かつ低遅延の制御を実現する技術だ。最大3ホップまでの中継通信が可能で、1ホップ当たり5km、3ホップでは最大15km先のドローンとの通信が可能となっている。また、169MHz帯/920MHz帯を切り替えて通信が可能で、どちらかが使えなくなった場合でも片方のリンクを使用できる。これによって、人の立ち入りが困難な場所や圏外の場所での監視/調査/測量が可能となるという。
担当者は、今後の課題について「ドローンは天候(強風/雨)により、悪影響を受けることが心配されている。環境の影響は、ハードウェアの性能により左右される場合が多いが、ソフトウェア(無線通信)も雨の影響は受けるので、悪天候への対策は強化していく必要がある」と説明した。
ドローンマッパー技術は、複数の周波数(920MHz/2.4GHz)を用いた無線通信技術で、ドローンを複数同時に飛行させた際、機体間通信システムを用いて位置情報を共有可能だ。同技術の活用により、地上のオペレーターを介さずに、ドローン同士が自律的に接近回避および自動的に先導機を追従して群飛行できる。
これまで、ドローン同士の位置情報の把握は、カメラやレーザーを使ったものが主流だったため、視認できる距離や環境でしか活用できなかった。しかし、ドローンマッパー技術により、天候不良などの状況でも、1km先のドローン同士で位置情報/自動追従が可能になった。担当者は、今後の課題について「機体間通信システムのアルゴリズム改善により、理論上では10機、100機とドローンを同時に飛ばした場合でも、位置情報を把握できる。しかし、実際は、機体が増える程に混信する可能性は高くなるので、チャンネルを増やすか、設計を改良していく必要がある」とコメントした。
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