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TSMCの3nmノード向けインターコネクト技術、Marvell最大240Tbpsを実現する技術(1/2 ページ)

Marvell Technologyは、TSMCの新しい3nmプロセス適用のD2Dシリコンインターコネクトを開発している。同社は、最大240Tビット/秒(bps)のデータ伝送速度を実現し電力性能やコスト最適化を可能とするこの技術を、データセンターや車載分野向けに提供していく方針だ。

» 2023年06月13日 11時30分 公開
[Alan PattersonEE Times]

 Marvell Technology(以下、Marvell)の技術部門担当バイスプレジデントを務めるMark Kuemerle氏は、米国EE Timesの取材に対し、「Marvellは、TSMCの新しい3nmプロセス技術を適用して製造した高速シリコンインターコネクトを導入することで、データセンターの消費電力量を削減可能なチップレット接続を実現する」と述べている。

IPを半導体メーカー向けに提供へ

 同社が開発したダイツーダイ(D2D)のインターコネクトは、最大240Tビット/秒(bps)のデータ伝送速度を実現する。これは、マルチチップパッケージに搭載されている最新のインターコネクトと比べて45%の高速化となる。

Marvellの技術部門担当バイスプレジデント、Mark Kuemerle氏 出所:Marvell Marvellの技術部門担当バイスプレジデント、Mark Kuemerle氏 出所:Marvell

 Marvellはこの新しいビルディングブロックを、「データセンターや今後登場予定の自動運転車などの帯域幅や性能、エネルギー効率を向上させることが可能な、半導体設計用IP(Intellectual Property)を開発する」という戦略の一環として開発したという。同社はこの技術を利用し、顧客企業向けにチップレットを接続する予定だとしている。

 Kuemerle氏は、「複数チップで構築する場合、インターコネクトに非常に高価なシリコンインターポーザーを使う必要はない。私としては、自動車市場において複数チップを構築できる能力は、非常に興味深いことだと思っている。なぜなら、データセンターの場合と同様に、電力性能やコストを最適化する傾向が急速に進んでいるからだ。また、車載用チップのマルチチップ統合への移行も間近に迫っている」と述べる。

 Marvellの開発方針は、TSMCの最先端の3nmノードに対する信頼性を示すものだといえる。英国の株式調査会社であるArete Researchによると、Marvellは、TSMCの顧客リストのトップ10に入っているという。

 業界初となる3nmノードのビルディングブロックとしては、112GのXSR(eXtra Short Range) SerDesや、Long-Reach(LR)SerDes、PCIe Gen 6/CXL 3.0 SerDes、240Tbpsの並列D2Dインターコネクトなどが挙げられる。Marvellは業界で最初に、TSMCの5nmプロセスを適用した112G SerDesとデータインフラ製品を提供している。

まずはデータセンター用チップ向け

 Marvellによると、この新しいIPはまず、データセンター向け半導体チップの開発を手掛ける顧客にメリットを提供できる見込みだという。

 市場調査会社650 GroupのアナリストであるAlan Weckel氏は、「サービスプロバイダーは現在、ネットワーク容量を1年間当たりクラウドで約50%、AI(人工知能)アプリケーションで100%以上、拡大しているところだ。Marvellが今回、3nmプロセス向けSerDesおよびインターコネクトの生産に成功したことは、クラウドサービスプロバイダーがかつてない勢いで増大する高速化とトラフィックの需要に後れを取らないようサポートを提供する上で、新たなステップとなるだろう」と述べている。

 この技術は、標準/低コストの再分配層からシリコンベースの高密度インターコネクトに至るまで、さまざまな半導体パッケージングのオプションをサポートする。Marvellによると、このインターコネクトは、データセンターの消費電力量を最大20%削減できる見込みだという。

 Kuemerle氏は、「もしMarvellが、これらのコンポーネントを1つのパッケージ上で近接させる方法を見つけ出したなら、通信によるエネルギー消費は最適化され、電力効率が10倍という桁違いの向上を実現できるだろう。インターコネクトの電力は、デバイスの電力量全体の3分の1強になる場合が多い。つまり、消費電力100Wの半導体チップのうち30Wを占めていたインターコネクトが、3Wの消費に抑えられるのだ」と述べている。

 Nature誌に掲載された記事によると、AIの大規模言語モデル(LLM)をトレーニングする際に生じる二酸化炭素排出量は、約30万kgに及ぶという。これは、米国のニューヨークと中国の北京を飛行機で125往復する量に匹敵する。

 この新しいインターコネクトは、データセンターにおける二酸化炭素排出量を確実に削減できる。

 Kuemerle氏は、「コンポーネントをまとめることで、システムのドライバーやリピーターを排除できる。そのためには、このようなシステムの構築方法を大幅に見直す必要もある。消費電力量の問題はある程度解決できるが、それに伴い熱の問題が発生する。Marvellは、革新的な熱ソリューションを見つけるべく、さまざまな活動を進めているところだ」と述べる。

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