Intelは、ドイツに最先端前工程工場を2棟建設する計画について、投資額を当初発表時から大幅増の300億ユーロ以上にすると発表した。同工場では「当初想定していたよりも高度なオングストローム世代の技術」を導入する。
Intelは2023年6月19日(ドイツ時間)、ドイツ、ザクセン・アンハルト州の州都マクデブルクに最先端の前工程工場を2棟建設する計画について、ドイツ政府と改訂版趣意書に署名したと発表した。総投資額は当初計画発表時の170億ユーロから大幅増の300億ユーロ以上となった。欧州委員会による承認を経て、4〜5年以内の稼働開始を予定している。同社は、「現在のスケジュールと投資規模を考慮し、当初想定していたよりも高度なオングストローム世代の技術を施設に導入する予定だ」と述べている。
Intelは2022年3月、EUでの新たな半導体工場建設や拡張、研究開発に330億ユーロ以上を投資する計画を発表。この中でドイツ、ザクセン・アンハルト州の州都マクデブルクに最先端半導体工場を2棟建設する計画も明らかにしていた。同社は2022年11月にはマクデブルクの土地を取得済み。当初発表では、投資額は170億ユーロで、2023年前半に建設開始、2027年に生産開始を予定としていたが、その後のエネルギー価格の高騰や建設コスト上昇などを受け、公的補助金の増額に関する政府との交渉が長引いていたことが報じられていた。
Intelは今回の合意について、「計画発表時からの規模拡大や経済状況の変化を踏まえ、インセンティブを含む政府支援を強化することを盛り込んだもの」と説明している。ドイツの商業経済紙Handelsblattは、ドイツ政府による補助金が当初の68億ユーロから99億ユーロに増額されると伝えている。なお、これに対してIntelが投資額を大幅に増額したことで、政府の出資比率としては当初の40%から33%以下に下がるという。
ドイツ新工場についてIntelは、2022年3月の発表当時、「欧州および全世界のファウンドリー顧客とIntel自身のニーズに対応し、最先端オングストローム世代のトランジスタ技術を用いた半導体を提供することを期待している」としていたが、今回、当初予定よりさらに微細なオングストローム世代プロセスを導入する予定と発表した。
Intelは、ドイツ国内および地域内の他の技術革新と製造の中心地への接続点となることから、ドイツ新工場を「シリコンジャンクション」と呼称する。IntelのCEO(最高経営責任者)、Pat Gelsinger氏は、ドイツ新工場を、アイルランドの前工程工場や2023年6月16日に発表したポーランドの組み立て/テスト工場と組み合わせることで、「ウエハーからパッケージ製品まで、他の追随を許さない生産能力の回廊が形成でき、欧州のバランスのとれた強靭なサプライチェーンに向けた大きな一歩となる」と述べている。
なお、ドイツ新工場によってIntel直雇用として3000人、工場の建設作業の雇用として7000人の他、業界のエコシステム全体で数万人の追加雇用を創出することが見込めるという。
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