インテルは「インテル・プレスセミナー Q2’23」を開催。同社の注力領域としてサプライチェーンの強靭化やムーアの法則の継続、AIの民主化などについて説明した。
Intelの日本法人であるインテルは2023年6月14日、プレス向けに最新の取り組みを紹介する「インテル・プレスセミナー Q2’23」を開催した。社長の鈴木国正氏と経営戦略室長の大野誠氏が登壇し、同社の注力領域について説明したほか、デジタル人材育成の重要性についても語った。鈴木氏によると、対面での開催は3年7カ月ぶり。
鈴木氏はセミナー冒頭で2023年3月に亡くなったIntelの共同創業者であるGordon Moore氏について、同社CEO(最高経営責任者)であるPat Gelsinger氏の言葉を紹介した。
「Intelはムーアの法則に触発され、限界までムーアの法則を追い求めていきます。Gordonのビジョンは、私たちがテクノロジーの力を使って地球上のすべての人々の生活を向上させるために、私たちのノーススター(道しるべ)として存在し続けます」(Gelsinger氏)
インテルの注力領域としては「グローバル・サプライチェーンの強靭化」、「ムーアの法則の継続」、「AIの民主化」の3点が挙げられた。
1つ目の「グローバル・サプライチェーンの強靭化」に関しては、製造関連の戦略「IDM 2.0」の進展を紹介。自社工場の製造ネットワークには「非常に強い投資を継続」(鈴木氏)し、TSMCなど外部のファウンドリーとも関係を強化していくという。Intel自身のファウンドリー事業については、Armの顧客が「Intel 18A」プロセス技術で低消費電力SoC(System on Chip)を開発できるようにする複数世代契約を結んだほか、Amazon、Cisco Systems、米国国防省がIntelのパッケージ技術を採用したと紹介した。鈴木氏はIntelのファウンドリー事業について「選択肢が広がり、顧客のサプライチェーンのレジリエンスが高まる。世界におけるサプライチェーンの安定に貢献するものだ」と述べた。
さらに鈴木氏は、Intelがパッケージ内のチップレットのオープン規格であるUCIe(Universal Chiplet Interconnect Express)のコンソーシアムで中心的な役割を果たしていることに触れた。「最先端のパッケージング技術の統合に向けてさまざまな企業と連携し、1つのスタンダードを作る。異なるプロセス技術に基づいたチップレットの設計と製造を可能にするオープンエコシステムを構築することが1つの目標だ」という。
Intelと日本の協力関係については、2023年5月18日に経済産業省主催の意見交換会にGelsinger氏が出席したことを紹介。サステナビリティ、次世代コンピューティング、国内サプライヤー企業との連携強化について話し合ったという。また、理化学研究所とは次世代コンピューティング分野における共同研究に関する覚書を締結した。鈴木氏は「地政学リスクなどの理由から、Intelにとって日本の注目度が高まっていることを実感している」と話した。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.