2つ目の注力領域である「ムーアの法則の継続」に関連し、先端の半導体製造技術については4年間で5ノードという戦略が「順調に進展している」(鈴木氏)とした。EUV(極端紫外線)露光を取り入れた「Intel 4」は製造を開始し、現在一部顧客にサンプル提供を行っている。2024年以降に製造開始予定の「Intel 20A」とIntel 18Aも既にテープアウトして、社内のテストチップとして動作しているという。
3つ目の注力領域である「AIの民主化」については、大野氏が「全ての人類にとって広くアクセスできるAI技術を提供すること」がIntelのAIビジョンであると説明。ビジョンの実現には特にデータセキュリティ、データプライバシー、データの信ぴょう性が課題となっているとした。そうした課題の解決のため、Intelでは社内でAI諮問委員会を設け、同社のAI開発活動が信頼性や公平性などの項目で基準を満たしているか確認している。また、外部と連携した研究としてはチェコに拠点を置くAvast Softwareや8つの大学と連携してAIの共同研究所を設立し、機密性の高い分散型AIの研究開発を行っているという。製品やソリューションとしてはリアルタイムでディープフェイクを検出するツール「FakeCatcher」や社内情報検索用のチャット型インタフェースを開発している。
鈴木氏はデジタル人材の育成についても触れ、「今の日本のデジタル教育は遅れがある。小学校から社会人までのデジタル人材育成を一貫して担う主管がない」と危機感を示した。小学校から大学、企業、政府・自治体まで包括的にデジタル人材育成をサポートする「インテル・デジタルラボ構想」を紹介し、それに基づく取り組み事例として、教育機関に対して高性能PCや高速LANなどのインフラから周辺機器までをインテルがトータル支援する「STEAM Lab」などについて説明した。STEAM Labでは18の学校に機材導入が完了し、2022年4月から実証実験を開始しているという。鈴木氏は「今後は単発の事例にとどまらず、プラットフォームを構築して『点』を『線』や『面』にしていきたい」と語った。
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