図4に、2022年における各種前工程装置の企業別シェア、欧米日のシェア、市場規模を示す。一見して、前工程装置では寡占化が進んでいることが分かる。
例えば、「1強+その他」としては、露光装置のASML(91.8%)、コータ・デベロッパの東京エレクトロン(TEL、88.8%)、スパッタ装置のアプライドマテリアルズ(AMAT、84.7%)、外観検査装置のKLA(57.2%)、欠陥検査装置のKLA(73.4%)などがある。
「2強+その他」としては、熱処理装置のTEL(58.5%)と国際電気(34.8%)、CMP装置のAMAT(70.4%)と荏原製作所(24.2%)、バッチ式洗浄装置のSCREEN(51.4%)とTEL(28.7%)、マスク検査装置のKLA(54.5%)とLasertech(36.4%)、CD-SEMの日立ハイテク(65.5%)とAMAT(34.5%)などがある。
一方、3社以上の混戦となっている装置もある。Lam Research(Lam、49.4%)、TEL(22.4%)、AMAT(15.8%)のドライエッチング装置、AMAT(37.9%)、Lam(32.5%)、ASMI(14.4%)のCVD装置、SCREEN(36.7%)、TEL(27.9%)、Lam(17.4%)、SEMES(11.0%)の枚葉式洗浄装置などである。
前掲の図4における欧米日の地域別のシェアを見てみよう。ASMLがある欧州は、露光装置で91.8%を独占している。米国は、AMAT、Lam、KLAの3社を中心にして、ドライエッチング装置(65.2%)、CVD装置(66.2%)、スパッタ装置(87.9%)、CMP装置(70.4%)、外観検査装置(69.6%)、欠陥検査装置(90.3%)、マスク検査装置(59.9%)でトップシェアを獲得している。
一方、日本は、コータ・デベロッパ(92.0%)、熱処理装置(94.7%)、枚葉式洗浄装置(64.6%)、バッチ式洗浄装置(80.1%)、CD-SEM(65.5%)で世界シェアトップを占めている。
しかし、日本のシェアが高い装置は、市場規模があまり大きくない。その反面、欧米は、100億米ドルを超える市場規模の前工程装置の世界シェアを独占している。202億米ドルの最大市場となったドライエッチング装置はLamとAMATで合計65.2%、167億米ドルの露光装置はASMLが91.8%、135億米ドルの外観検査装置はKLAとAMATで69.6%、112億米ドルのCVD装置はAMATとLamで66.2%を占めている。
つまり、欧米のAMAT、ASML、Lam、KLAは、市場規模の大きな装置にフォーカスし、世界シェアを独占しているのである。そこには、マーケティングに基づいたトップダウンの戦略があると考えられる。
それでは、全ての前工程における地域別のシェアはどうなっているだろうか?
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