TSMCがドレスデンを選んだ主な要因の一つは、確立されたエコシステムの存在だ。エコシステムが確立されていることで、現地のスキルや専門知識、その他のリソースにアクセスすることが可能になる。
Kao氏は、「ドレスデンには世界第5位のウエハー製造エコシステムがある」と述べている。
さらにKao氏は、「ドレスデンにはマイクロエレクトロニクスのエコシステムへの投資と拡大において、称賛に値する実績がある。成長に向けたこの取り組みは、最先端の工場施設を建設するというわれわれの使命と完全に合致している。ドレスデンの既存インフラとサポートネットワークによって、同プロジェクトの開発は大いに促進されるだろう」と語った。
TSMCが計画している半導体製造施設は、早ければ2030年に、300mmウエハー換算で月産4万枚という、大規模な生産能力を確保できる見込みだ。
この生産能力は、TSMCの中国・南京市の既存工場および、熊本県に建設中の工場と同規模で、台湾の専門用途向け200mmウエハー工場を大幅に上回っている。
今回の新工場建設は、車載および産業分野における需要の増加に対応することが目的だ。これらの分野では、先進の半導体製品を確実かつ大量に供給しなければならないので、300mmウエハーを利用することが多い。
品質の面では、TSMCは同一施設内でプレーナCMOSとFinFETの両プロセス技術を管理してきた実績がある。その手腕は、台湾のFab12/14/15や南京工場などの既存施設で実証済みだ。
専業ファウンドリーとしての機動力によって、TSMCはさまざまなプロセス技術を効率的に展開し、数多くの顧客に向けて幅広い製品を生産できている。2022年には288もの独自のプロセス技術を有し、532社の顧客に向けて1万2000種を超える製品を製造したという。
こうした経験と柔軟性により、TSMCは効率的かつ一貫した生産品質を維持し、半導体業界の厳しい要求に応え続けてきた。
さらに同社は、革新的な半導体技術を、外部の製造施設に合わせて製造面/自動化面でスケーリングする経験を有している。欧州での合弁事業でもそうした経験が重要になるだろう。同社はそのようなスケーリングに向け数百人のエンジニアを教育することで、欧州の半導体エコシステムを強化し、将来の半導体部門の成長を促進することを狙っている。
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