「フォトカプラ エミュレータはこうした課題を解決すべく、開発された製品だ」とTIの担当者は述べる。
フォトカプラ エミュレータでは、IFのスレッショルドの引き下げと電源電流の低減により、フォトカプラよりも消費電力を最大80%削減した。同相電圧過渡耐性(CMTI)は、デジタル出力のISOM8710で150kV/μsと、一般的なデジタルフォトカプラの約15kV/μsよりも大幅に高い。そのため、同相スイッチングノイズやリンギングノイズが大きいアプリケーションでも使用できる。
データレートが速いことも特長だ。既存の高速デジタルフォトカプラの1M〜10Mビット/秒(bps)に対し、ISOM8710のデータレートは25Mbpsを実現している。アナログ出力のISOM8110は、680kHzと広い帯域幅を実現しているので、インダクターやトランスのサイズを小型化することが可能だ。動作温度範囲は、ISOM8110が−55〜125℃、ISOM8710/8711が−40〜125℃と、いずれもフォトカプラより広い。
フォトカプラ エミュレータでは、複数のパッケージオプションを用意している。最小サイズは4.8×3.5mmになっている。評価基板も19米ドルで購入可能だ。2024年には車載バージョンも投入する見込みだという。
TIは、フォトカプラ エミュレータの開発背景について「まだまだ市場で多く使われているフォトカプラから置き換えるだけで、システムの絶縁強度と絶縁寿命を上げられることを目指した」と語る。「極端なコーナーケースはあるかもしれないが、基本的には『置き換えるだけ』で済むので、設計の工数や負担を増やすことなく、絶縁寿命の延長を実現できるだろう」(TI)
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