Texas Instrumentsは2023年3月、2つの組み込みプロセッサ製品ファミリを発表した。
Texas Instruments(以下、TI)の日本法人である日本テキサス・インスツルメンツ(以下、日本TI)は2023年3月に2つの組み込みプロセッサ製品ファミリを発表し、製品群の拡充を図った。2023年3月28日には、新たな組み込みプロセッサ製品ファミリに関する記者説明会を都内で開催し、エンジニアに対し幅広い組み込みプロセッサの選択肢を提供していくことを強調した。
新たに発表した組み込みプロセッサ製品ファミリは「MSPM0」と「AM6xA」の2つ。MSPM0は、CPUコアに「Arm Cortex-M0+」を搭載した汎用マイコン製品で同社32ビットマイコン製品群では、最も低コスト帯をカバーする製品になる。一方のAM6xAは、CPUコアに「Arm Cortex-A53」または「同-A72」を搭載したビジョンプロセッサで、高性能なハイエンド組み込みプロセッサ製品群を拡充した形になる。
TIでMSP マイコン製品事業部 バイスプレジデントを務めるVinay Agarwal氏は「組み込み開発者は、組み込みプロセッサに対しスケーラビリティを求めている。これまでTIは数十年にわたり、広範な製品ポートフォリオを提供してきた。今回、発表した2つの製品ファミリにより製品のラインアップの幅がさらに広がった」とした。
MSPM0は、電動歯ブラシなどの小型家電から産業機器までを幅広くカバーする汎用マイコンで、TIの16ビット汎用マイコンファミリ「MSP430」と用途が重複する。Agarwal氏は「MSPM0とMSP430で一部用途が重複するが、選択するのは顧客だと考えている。われわれは、広範囲のポートフォリオをそろえ、顧客に選択肢を提供していく」とし、MSPM0とともにMSP430のサポートも継続していくとの方針を示している。
MSPM0の動作周波数は32MHzから80MHzまでで、既に数十種の製品の提供をスタートしている。「2023年内に100種類以上の製品を提供する」(Agarwal氏)とし、スケーラビリティを1つの特長にする。「業界で初めてマイコンに搭載した」(TI)とするゼロドリフト・オペアンプをはじめ、分解能12ビットで毎秒4Mサンプリングの高精度A-DコンバーターなどTIのアナログ技術を生かしたペリフェラルを用意した他、パッケージタイプも数多く取りそろえ、性能、機能、パッケージといった各要素で最適な製品を選べるようにした。使い勝手についても「ソフトウェア、設計サポートリソース、コーディングツールを通じて設計期間を大幅に短縮する。これまで数カ月かかった設計期間が数日になる」(Agarwal氏)と強調した。価格については、1000個購入時単価は、0.39米ドルになっている。
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