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光ファイバー通信、伝送容量は22.9ペタビット/秒空間多重と波長多重の技術を融合

情報通信研究機構(NICT)フォトニックネットワーク研究室を中心とする国際共同研究グループは、1本の光ファイバーを用いた通信で、従来の2倍となる最大22.9ペタビット/秒の伝送が可能なことを実証した。

» 2023年10月11日 13時30分 公開
[馬本隆綱EE Times Japan]

「Beyond 5G」後の光通信インフラに適用へ

 情報通信研究機構(NICT)フォトニックネットワーク研究室を中心に、オランダのアイントホーフェン工科大学とイタリアのラクイラ大学による国際共同研究グループは2023年10月、1本の光ファイバーを用いた通信で、従来の2倍となる最大22.9ペタビット/秒の伝送が可能なことを実証した。

 NICTはこれまで、「マルチコア方式」と「マルチモード方式」を組み合わせて、100通り以上の光経路を有する「空間多重」や、C/L帯および、S帯のほぼ全帯域を活用し、合計20THzの周波数帯域を有する「マルチバンド波長多重」などを実現してきた。2020年には、38コア3モード光ファイバー伝送システムのMIMO受信機を用い、毎秒10.66ペタビット伝送を実証してきた。

 今回は、38コア3モード光ファイバー伝送システムのMIMO受信機を、マルチバンド伝送用に拡張した。これによって、マルチコア・マルチモード方式による空間多重と、マルチバンド波長多重の融合に成功した。

これまで開発してきた技術との比較 これまで開発してきた技術との比較[クリックで拡大] 出所:NICT
今回の伝送システムを用いた超大容量光通信のイメージ 今回の伝送システムを用いた超大容量光通信のイメージ[クリックで拡大] 出所:NICT

 今回の実験で用いた波長帯は、S帯で293波、C帯とL帯で457波の合計750波で、18.8THzの周波数帯域を使用した。信号の変調は偏波多重256QAM方式を用いた。同等の周波数帯域を持つ4コアファイバーと比べ、光経路の数は28.5倍に拡大したという。

過去の伝送実験における光経路の数と周波数帯域の関係 過去の伝送実験における光経路の数と周波数帯域の関係(1km以下の短距離の場合を除く)[クリックで拡大] 出所:NICT

 コアごとに得られた伝送容量は毎秒約0.3〜0.7ペタビット。全38コアを合計すると毎秒22.9ペタビットとなる。この値は商用の現行光通信システムに比べ、約1000倍に相当する伝送容量だという。

 研究グループは今後、マルチバンド波長多重の適用範囲を、より大規模なMIMO受信機を有する結合型マルチコア光ファイバーやマルチモード光ファイバー向けに拡張し、「Beyond 5G」後の光通信インフラに適用していく計画である。

開発した光伝送システムの概略図
波長および、コアごとのデータレート評価結果 上図は開発した光伝送システムの概略図、下図は波長および、コアごとのデータレート評価結果[クリックで拡大] 出所:NICT

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