NICT、生体組織の電気定数データベースを公開:5Gシステムの開発にも使える
情報通信研究機構(NICT)は、58種類の生体組織について、1MHzから100GHzまでの「電気定数データベース」を公開した。この中には、5G(第5世代移動通信)システムで用いられる20GHzを超える周波数帯で測定したデータも多く含まれているという。
情報通信研究機構(NICT)は2023年3月、58種類の生体組織について、1MHzから100GHzまでの「電気定数データベース」を公開した。この中には、5G(第5世代移動通信)システムで用いられる20GHzを超える周波数帯で測定したデータも多く含まれているという。
NICTは、無線通信技術を安全かつ有効に活用するため、数値人体モデルなどの技術開発を行ってきた。コンピュータを用い、使用する電波が人体に吸収され、内部でどのように振る舞うかなど、人体に与える影響をシミュレーションによって検証するためである。その振る舞いは電気定数によって決まるといわれている。ところが、20GHzを超える周波数ではこれまで、さまざまな生体組織の電気定数が測定されていなかったという。
ただ、さまざまな生体組織の電気定数を測定するには、対応できるセンサーが必要となる。そこでNICTは、1MHzから100GHzまでの広い周波数範囲で、精度よく電気定数を測定できる2種類のセンサーを開発した。このセンサーを用い、生体組織の電気定数を測定した。
今回公開した電気定数データベースと数値人体モデルを組み合わせることで、28GHz帯を用いた5Gシステムにおける人体ばく露のシミュレーションも、より正確に行うことができるようになる。
今回公開する「生体組織の電気定数データベース」概略 出所:NICT
NICTが開発したセンサーの外観 出所:NICT
公開したデータベースは、利用規約に合意すればだれでも利用することができる。NICTのウェブページにおいてデータベースの閲覧やダウンロードが可能となっている。NICTでは今後、6G(第6世代移動通信)なども視野に入れ、データベースを1THzまで拡張するための研究も進めていくという。
- 理研ら、量子計算クラウドサービスを提供開始
理化学研究所、大阪大学らの研究グループは2023年3月27日、超伝導方式による量子コンピュータ初号機を開発し、同技術を活用した「量子計算クラウドサービス」を提供開始したと発表した。
- 量子光のパルス波形を自在に制御する新手法を開発
東京大学は、NTTや情報通信研究機構、理化学研究所の研究チームと共同で、量子光のパルス波形を自在に制御する新たな手法を開発した。量子光源となる「量子任意波形発生器」の核となる技術で、新手法を用い大規模光量子コンピュータの作動に必要となる特殊なパルス波形を持つ量子光の生成に成功した。
- NICTら、15モード多重信号の光スイッチングに成功
情報通信研究機構(NICT)の研究グループは、実環境テストベッドを利用した実験をラクイラ大学らと共同で行い、「15モード多重信号の光スイッチング」に成功した。「Beyond 5G」以降の情報通信サービスを支える技術として注目される。
- 日欧連携で300GHz帯双方向リアルタイム伝送に成功
早稲田大学らによる国際共同研究グループは、世界初となる「300GHz帯双方向リアルタイム伝送」に成功した。テラヘルツ通信は、Beyond 5G/6Gシステムにおいて、基地局間を接続する方法の1つとして注目されている。
- 可視光で動作、有機電気光学ポリマー光変換器を開発
情報通信研究機構(NICT)未来ICT研究所は、可視光で動作する有機電気光学ポリマーを開発し、これを用いて作製した光変調器が、波長640nm(赤色)で動作することを確認した。
- NICT、4コア光ファイバーで1ペタbps伝送に成功
情報通信研究機構(NICT)は、標準外径(0.125mm)で51.7km長の4コア光ファイバーを用い、波長多重技術と複数の光増幅方式を駆使した伝送システムにおいて、毎秒1ペタ(P)ビットを超える大容量伝送の実験に成功した。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.