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転写可能なCNT透明導電ナノシート、マルアイが開発あらゆる素材や曲面に貼れる

紙製品・化成品メーカーのマルアイは、転写可能な「カーボンナノチューブ(CNT)透明導電ナノシート」を開発した。ガラスやゴム、木材などさまざまな素材や曲面に貼り付ければ、容易に導電性を持たせることができる。

» 2023年12月07日 15時30分 公開
[馬本隆綱EE Times Japan]

CNT導電フィルムの膜厚を変えれば、表面抵抗率を調整可能

 紙製品・化成品メーカーのマルアイは2023年11月、転写可能な「カーボンナノチューブ(CNT)透明導電ナノシート」を開発したと発表した。ガラスやゴム、木材などさまざまな素材や曲面に貼り付ければ、容易に導電性を持たせることができる。

 CNT透明導電ナノシートは、東京工業大学との産学連携により開発した。「基材」と厚みが1μm以下という「CNT導電フィルム(CNT膜)」との間に、水溶性膜を挟んだ構造である。このシートを水に浸すとCNT導電フィルムを基材から剥がすことができる。

 剥がれたCNT導電フィルムを、貼り付けたい素材に転写すれば、対象物に導電性を持たせることができる。CNT導電フィルムの膜厚を変えれば、表面抵抗率を102〜108Ω/sqの間で調整することが可能である。

左はガラス瓶、右はCNT透明導電ナノシートを転写したポリエチレン容器 左はガラス瓶、右はCNT透明導電ナノシートを転写したポリエチレン容器[クリックで拡大] 出所:マルアイ
CNT透明導電ナノシートの転写例 CNT透明導電ナノシートの転写例[クリックで拡大] 出所:マルアイ

 マルアイは、独自開発の導電・帯電防止インキを用い、オリジナルの導電フィルムを製造、販売している。2018年1月にはシングルウォールCNTを用いた高透明導電シート「SCS・TC(Super Clean Sheet・Transparent Clear)」を開発した。可視光透過率は 84.46%で、A-PET(非晶性ポリエチレンテレフタレート)並みの高い透明性を実現し、経時劣化も小さい。このため、主に電化製品や自動車分野で、導電トレイとして用いられているという。

表面抵抗率と帯電の関係性を示すイメージ図 表面抵抗率と帯電の関係性を示すイメージ図[クリックで拡大] 出所:マルアイ

 開発したCNT透明導電ナノシートは、「SCS・TC」の特性をベースに汎用性を高め、さまざまな対象物や曲面にも導電性を付与できるよう、転写機能を追加した製品となる。

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