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EdgeTech+ 2023 特集

汎用マイコンで画像認識を処理、STのエッジAIソリューション「EdgeTech+ 2023」

STマイクロエレクトロニクスは「EdgeTech+ 2023」にて、汎用の32ビットマイコンで組み込みAI(人工知能)を実現するためのソリューションを展示した。組み込みAIソリューションは、同社が現在注力している分野だ。

» 2023年12月08日 13時30分 公開
[浅井涼EE Times Japan]

 STマイクロエレクトロニクス(以下、ST)は「EdgeTech+ 2023」(2023年11月15〜17日、パシフィコ横浜)にて、組み込みAI(人工知能)ソリューションを展示した。STの担当者は「組み込みAIソリューションはSTの得意とする製品群と親和性が高いことから、現在注力している分野だ」と説明する。

ニューラルネットワークモデルをマイコンで実行

 コンピュータビジョンの組み込みAIに関しては、画像データの取得からディープラーニングの実行まで「全てSTの組み込みソリューションで実現できる」(ST)とうたっている。

 STが提供するソフトウェア「STM32Cube.AI」は、学習済みのニューラルネットワークモデルを、STの汎用32ビットマイコン「STM32」用に最適化されたC言語のプログラムに変換するための開発環境だ。メモリ使用量や計算量を調整し、STM32シリーズ上でニューラルネットワークモデルを簡単に動作させることができる。イメージセンサーやToF(Time of Flight)測距センサーから取得した画像データを用いれば、STM32シリーズを使って、クラス分類や物体検出を実行できる。

 「従来、組み込みAIで画像認識処理を行うとなるとシングルボードコンピュータを用いることが多かった。より安価な汎用マイコンに置き換えればコストの削減につながる」(ブース担当者)

 ブースではToF測距センサーを用いたデモ展示が行われた。センサーの前に手をかざすと、マイコン上でニューラルネットワークモデルが動作して推論を実行し、手を広げている、親指を立てているなどのジェスチャーを読み取る。非接触での機械の操作などに応用できるという。

ToF測距センサーを用いたデモ ToF測距センサーを用いたデモ[クリックで拡大]

軽量ライブラリをユーザーが開発、産業機器の予知保全に

 産業機器の予知保全やモニタリングを行うシステムも展示された。マイコンでモーターの制御を行いながら、AI処理による異常検出も行えるというものだ。電流値から推論を行うので、異常検知用に電流/電圧センサーなどを追加する必要はないという。

 異常検出のAIライブラリは、STが提供する組み込みAI開発ツール「NanoEdge AI Studio」でユーザー自身が開発できる。AIライブラリの容量は数キロバイト〜数十キロバイトと軽量なので、メモリ容量が小さく制約の厳しいローエンドモデルのマイコン上でも動作するとしている。

 「ライブラリ開発は本来『職人技』が必要で、熟練のエンジニアが担ってきたが、NanoEdge AI Studioを使えば、データを取り込んで簡単に開発できる」(ブース担当者)

モーターの異常検出デモ モーターの異常検出デモ[クリックで拡大]

 STのブース担当者は「STは、組み込みAIを実現するための製品をマイコンからセンサー、ソフトウェアまで取りそろえていて、それらを統合したソリューションとして提供できることが強みだ」と語った。

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