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【1月9日更新】能登地震、半導体/電子部品業界の被害状況令和6年能登半島地震

2024年1月1日、石川県能登地方を震源とするマグニチュード7.6の地震が発生し、北陸に生産拠点を持つ半導体/電子部品業界の関連各社が被害の確認や復旧活動を進めている。2024年1月9日までに発表された、各社の被害確認の状況をまとめる。

» 2024年01月09日 21時19分 公開
[永山準EE Times Japan]

 2024年1月1日午後4時10分ごろ、石川県能登地方を震源とするマグニチュード7.6の地震が発生し、北陸に生産拠点を持つ半導体/電子部品業界の関連各社が被害の確認や復旧活動を進めている。

 各社の第1報は下記リンクの通りだ。

 本記事では、第1報以降、2024年1月9日までに発表された、各社の被害確認の状況をまとめる。また、上記記事内の企業以外で、被害確認について発表した企業も追記している。

村田製作所(2024年1月5日に第2報を発表)

 村田製作所では、地震発生時は、同社の北陸地方の工場が全て、年末年始休暇により操業を停止していた。同社では従業員と家族の安否確認を続けているが、震源から近い穴水村田製作所(石川県穴水町)など一部拠点では、依然として全員の確認が取れていない状況が続いていて、今後も最優先で確認を進めていくとしている。

 村田製作所は、北陸地方について「当社の歴史的に事業の中心地であり、数多くの電子部品の開発と生産を行ってきた」と説明。生産拠点においては、インフラと設備の被災状況を確認し、従業員の安全を確保したうえで、順次生産を再開していく方針だ。

 富山村田製作所(富山市)や福井村田製作所の武生事業所(福井県越前市)および宮崎工場(福井県越前町)、鯖江村田製作所(福井県鯖江市)では既に一部生産/生産を開始。また、2024年1月9日から金沢村田製作所の金沢事業所(石川県白山市)および能美工場(石川県能美市)、金津村田製作所(福井県あわら市)、アスワ村田製作所(福井市)でも順次生産を再開する予定だ。

 一方で、小松村田製作所(石川県小松市)や氷見村田製作所(富山県氷見市)、ハクイ村田製作所(石川県羽咋市)、ワクラ村田製作所(石川県七尾市)、穴水村田製作所については、生産再開に向けてインフラと設備の状態を現在確認中だという。

 また、サプライチェーンについては、「パートナー企業と情報共有し協力をしながら、影響を最小化させるよう努めていく」と述べている。

 村田製作所は2024年1月9日、義援金として村田製作所グループ全体で、5億円の寄付を行うと発表した。

東芝デバイス&ストレージ(2024年1月9日に第3報を発表)

 東芝デバイス&ストレージは、地震発生直後に本社(川崎市)に災害対策本部を立ち上げ、情報収集と対応、対策に当たっている。

 同社は、石川県能美市の加賀東芝エレクトロニクスの生産拠点について、派遣社員を含む従業員全員の無事を確認。建物についても、操業再開に支障を及ぼすような破損がないことを確認している。一方で、クリーンルームの排気配管が広範囲にわたり破損しているといい、その修復に最優先で取り組んでいる。また、製造装置については、石英等の破損が確認され、手配/修理/交換を進めているが、必要数の確保に時間がかかる可能性があるという。

 新規投入および、被災前の生産能力復帰時期については、決まり次第発表する方針。被害の小さかった一部生産工程については、2024年1月9日に操業再開したという。

サンケン電気(2024年1月9日に第5報を発表)

 サンケン電気は、2024年1月9日、震源に近い石川サンケンの従業員の安否確認が完了したと発表した。また、工場の被害や復旧活動については、2024年1月8日に最新状況を発表。生産拠点である堀松工場と志賀工場(いずれも石川県志賀町)、能登工場(石川県能登町)では専門家による一次診断では大きな問題はなかったが、一部の建物に対してさらなる安全確認を継続するとしている。また、工場用水の確保に向けた確認を各自治体と行っている。

 堀松工場と能登工場の生産設備については、地震による影響の有無の確認を継続し、確認の終わった設備は順次、生産再開に向けた準備を始めている。また、志賀工場についても停電が継続しているものの、非常用電源を確保して被害確認を開始した。ただし、全容の把握には一定の時間を要する見込みだという。

 同社では2024年1月6日から、サンケン電気本社およびグループ各社の復旧支援チームを加え、復旧に向けた活動を加速している。

JDI(2024年1月9日に第2報を発表)

 JDIは、石川工場(石川県川北町)において、配管の損傷、漏水、ボイラー停止などが発生。同工場は冬期休業中で1月8日までの予定で生産を停止していたが、緊急体制の下、復旧タスクフォースを編成し、1月2日から生産再開に向けて復旧活動を開始。1月8日までにクリーンルーム内の配管/ダクトなどの補修がほぼ完了し、同日から生産装置の立ち上げを開始したという。

 同社は、「クリーンルームの温湿度調整などに必要な重油およびLPGの安定確保が課題となるが、継続して確保に努めていく」と説明。今後、全ての装置の正常な稼働を確認した上で早期に通常の生産体制に戻すことを目指すとしている。なお、石川工場の従業員を全ての従業員に人的被害がないことを確認している。

富士電機(2024年1月5日に第1報を発表)

 富士電機は、子会社である富士電機パワーセミコンダクタの北陸工場(富山県滑川市)および発紘電機(石川県白山市)について、操業にかかわる大きな被害はなく、既に操業を開始していることを発表している。また、従業員にも人的被害はないという。

TPSCo(2024年1月2日に第1報を発表)

 Tower Semiconductor(以下、Tower)は、旧パナソニック セミコンダクターソリューションズ(現ヌヴォトン テクノロジージャパン)と設立した合弁会社TPSCoの工場を、富山県魚津市および砺波市の2カ所に有している。Towerによると、両工場の建物への影響や被害はなく、製造工場の損壊も軽微でオペレーションへの影響はないという。また、従業員全員の無事も確認している。

KOKUSAI ELECTRIC(2024年1月9日に第2報を発表)

 KOKUSAI ELECTRICは富山県内に富山事業所およびグループ会社拠点があるが、従業員/家族全員の無事を確認している。製造/開発の中枢である富山事業所では、甚大な被害は生じなかったものの、施設の天井材、壁材、空調配管などに部分的な被害が生じたため、安全確認、清掃、補修などを実施。1月9日から通常の事業活動を順次開始している。

 また、グループ会社拠点および建設中の砺波事業所(仮称)に大きな被害はなかったという。

 サプライチェーン全体の被害状況については、被災地域に所在するサプライヤーの状況を確認したところ、ごく少数ながら大きな被害が生じている企業があったという。KOKUSAI ELECTRICは、「当社グループは現時点で十分な在庫量を保有していて、代替調達が可能であることから、事業活動に支障は生じない見込みだ」と説明している。また、富山事業所を中心とする物流網についても、大きな支障がないことを確認している。

信越化学工業(2024年1月4日に第2報を発表)

 信越化学工業は、直江津工場(新潟県上越市)において、地震の揺れを感知後に設備が自動停止したが、1月3日から一部の設備で操業を再開している。今後、安全を最優先とし確認がとれた設備から順次操業を再開していく。また、武生工場(福井県越前市)では、操業に大きな影響はなかった。

TrendForceが影響の見通しを発表

 今回の震災の影響については、市場調査会社TrendForceも2024年1月2日に見通しを発表している。同社によると、現在の半導体業界の低迷や閑散期であること、すでにある部品在庫および、ほとんどの主要工場が震度4から5の地域に位置していたことなどから、地震による業界への影響は限定的としている(1月2日時点)

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