2023年の半導体売上高上位10社の時価総額を比較しながら、それぞれの企業の現状や期待度について述べてみたい。
2023年の半導体市場は、メモリの不況が目立ち、全体としてもマイナス成長に終わった。半導体メーカーの売り上げランキングではNVIDIAが首位に立つ、という画期的な出来事があった。別の調査会社Gartnerは2023年の速報ランキングにおいて、Intelが3年ぶりに首位に返り咲き、NVIDIAが12位から5位に躍進した、と発表している。ただしNVIDIAの昨今の勢いを考えると、ランキングでもNVIDIAがIntelやSamsungを脅かす存在になる可能性が高い。2023年の半導体市場を振り返る上で、NVIDIAの躍進を語らないわけにはいかないだろう。今回は、半導体売上高上位10社の時価総額を比較しながら、それぞれの企業の現状や期待度について述べてみたい。
図1は、調査会社Semiconductor Intelligenceが発表した2023年半導体メーカー上位10社の売上高で、グラフとして示したものである。
図1を見る限り、NVIDIAとIntelとの差はわずかではあるが、半導体/エレクトロニクス業界におけるNVIDIAへの注目度は、もはやIntelをはるかにしのいでいる。
図2はIntelの四半期決算の推移で、2023年7〜9月期までの実績が示されている。
かつて、四半期売上高で200億米ドルを超えていたIntelとしては、160億米ドルを下回る売上高に、ほぼ慢性化してしまった営業赤字と、かなり不本意な業績が続いている。2023年10〜12月期の売上高は151億米ドル前後の見込み。売り上げ水準はまだ不本意なレベルだが、営業損益は改善中なので、久々に営業黒字が計上されるかもしれない。
図3はNVIDIAの四半期決算の推移で、2023年8〜10月期までの実績が示されている。
2023年2〜4月期までは60〜70億米ドルの売り上げで推移していた。そして、AI関連の需要増が追い風となり、2023年5〜7月期は135億米ドル、2023年8〜10月期は181億米ドルと売り上げが急増した。営業利益率も50%を上回る好調ぶりだ。2023年11月〜2024年1月期は200億米ドル前後の売り上げ見込みで、まさに全盛期のIntelの売上規模に迫ろうという勢いである。
IntelにしろNVIDIAにしろ、売上高の全てが半導体で占められているわけではなく、システム製品やソフトウェアの売上も含まれているだろう。また多くの半導体調査企業の定義に従えば、半導体受託製造(ファウンドリー)事業の売り上げを半導体売上高に含まないはずなので、2023年の半導体売上高はどちらが大きいか、という判断は各調査会社に委ねるしかない。ただ、両社の勢い、時代のニーズへの適合性には、大きな差がついているのが現状といえるだろう。
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