ディスコの2023年度第3四半期業績は、売上高が前年同期比16.9%増の769億円、営業利益は同25.1%増の303億円となった。第4四半期はパワー半導体向け需要の継続に加え、生成AI向けの出荷本格化を見込み、売上高、出荷額はともに四半期では過去最高となることを予想している。
ディスコは2024年1月24日、2023年度第3四半期(2023年10〜12月)の決算を発表した。売上高は前年同期比16.9%増の769億円、営業利益は同25.1%増の303億円となった。半導体市場は、スマートフォンやPCなどの最終製品需要の低迷が続いているものの、パワー半導体向けを中心に高水準の出荷が続き、装置の検収も進捗した。
GP率(売上総利益率)も68.4%と前四半期から引き続き過去最高水準だった。高付加価値製品や改善活動が寄与したことに加え、円安の好影響があったことなどが要因だ。
一方、純利益は同2.9%減の160億円となった。ただこれは「羽田R&Dセンター」(東京都大田区)の建て替えに伴い、減損損失約75億円を特別損失として計上したことが要因だ。同社は「今後の需要増に対応するためにも、積極的な設備投資を行っていく」と述べている。
市場動向と連動性が高い出荷額も2023年度第3四半期は、773億円と高水準を維持している。世界的な電気自動車(EV)シフトや脱炭素の進展を背景に、パワー半導体向けが底堅く推移した。
出荷額における用途別の割合を見ると、ダイサーではパワー半導体向けが減少しているものの、IC向けが増加している。グラインダーでは、生成AI(人工知能)需要の拡大を背景に前四半期からIC向けが増加しているほか、前年同期比でみると、光半導体(主にCMOSイメージセンサー)向けも増加している。
また、消耗品である精密加工ツールの出荷額についても2022年度第4四半期(2023年1〜3月期)で底打ちした後、顧客の設備稼働率上昇などによって回復基調が継続。2023年度第3四半期は過去最高を更新した。
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