なお、地域別の構成比(検収ベース)を見ると、半導体の国産化に向けて国内メーカーが積極投資を進める中国が38%(外資メーカーの現地工場向けを含む)と前四半期(36%)からさらに増加。「ここ2年ほどで見ても、最も高い構成比になっている」(同社IR室室長の木場竜一郎氏)という。
ただし、中国では、パワー半導体やウエハーメーカー向けといった一部の用途で「一服感が出ている」とも言及。「第3四半期のやや調整に見える中国の動きが第4四半期以降どういった動きになるか、完全には見えていない部分がある。引き続き中国の動向については注視していきたい」としている。
同社は2023年度第4四半期(2024年1〜3月)の見通しも発表。引き続き、特にSiC(炭化ケイ素)を中心としたパワー半導体向けの装置出荷が継続するほか、生成AI向けの装置出荷も拡大し、売上高は前四半期比9.7%増の845億円、営業利益は同9.2%増の332億円、純利益は同58.3%増の255億円、出荷額は同11.1%増の859億円と予想。売上高、出荷額はともに四半期としては過去最高を更新する見込みだ。また、これによって、2023年度通期の売上高も過去最高を更新することになるという。
パワー半導体の他、出荷額の増加を支える大きな要因として同社が挙げるのが、生成AI向け装置だ。具体的には、主にNVIDIAなどをエンドユーザーとする2.5D(2.5次元)パッケージング技術および、HBM(High Bandwidth Memory)向けの装置などで、木場氏は、「第3四半期にも先行的に入ってくる部分の出荷があったが、本格的に出荷として大きく寄与してくるのが第4四半期からだ。第4四半期と2024年度の第1四半期あたりが、出荷のピークになるという見立てを持っている」と語っていた。
一方で、半導体市況自体に関して、木場氏は「スマホやPCといった最終製品の需要は、われわれからは回復が見えていない」とも言及。「OSAT(Outsourced Semiconductor Assembly and Test)を中心とした量産用途や生成AI向け以外のメモリの水準が低いということは、逆に、来期に向けての大きな伸びしろになっている」とし、SiCパワー半導体や生成AI、そして今後、いつか戻ってくるだろう量産用途向けに関し、供給責任を果たすため、生産キャパシティーを強化している」と述べた。
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