ノベルクリスタルテクノロジーは、「第1回 パワーデバイス&モジュールEXPO」(2024年1月24〜26日/東京ビッグサイト)に出展し、β型酸化ガリウム(β-Ga2O3)パワーデバイスを展示した。
ノベルクリスタルテクノロジーは、「第38回ネプコンジャパン」(2024年1月24〜26日/東京ビッグサイト)の構成展として初めて開催された「第1回 パワーデバイス&モジュールEXPO」に出展し、β型酸化ガリウム(β-Ga2O3)パワーデバイスを展示した。
酸化ガリウムは、SiC(炭化ケイ素)やGaN(窒化ガリウム)よりもバンドギャップエネルギーが大きいため、低損失かつ高耐圧の次世代パワーデバイスに向けた材料として注目されている。
ノベルクリスタルテクノロジーは、β型酸化ガリウム基板/エピウエハーの開発、製造、販売を行うベンチャー企業。タムラ製作所からカーブアウトし、情報通信研究機構(NICT)から技術移転を受けて2015年6月に設立された。2022年度の売上高は約3億6000万円で、売上高比率はβ型酸化ガリウム基板の販売と、エピウエハーの販売が同等だという。
ノベルクリスタルテクノロジーは、展示会のブースで、β-Ga2O3 バルク単結晶やエピウエハー、β-Ga2O3 SBD(ショットキーバリアダイオード)などを展示。同社は2023年秋からβ-Ga2O3 SBDのリサーチサンプルの提供を開始していて、2024年度内の販売開始を予定している。β-Ga2O3 トランジスタについては、2025年後半の製品化を目指している。
酸化ガリウムには、β型とは異なる結晶構造を持つα型(α-Ga2O3)が存在する。α型は、β型よりもバンドギャップエネルギーが大きいため、理論上はβ型よりも高性能な半導体材料だ。ただ、融液法でバルク単結晶を育成でき、高品質な基板を低価格で実現できるβ型に対し、α型は融液法によるバルク単結晶の育成ができないため、通常はサファイア基板に成膜して製造する。
β型とα型の違いについて、ノベルクリスタルテクノロジーの担当者は「パワーデバイスの性能は、下地基板の結晶の品質に影響される。α型は、酸化ガリウムとは異なる原子間距離の物質(サファイア基板)に成膜するため、結晶にひずみが生まれてしまい、理論値通りの性能を引き出すことが難しい。それに対し、β型は下地基板も酸化ガリウムでできているため、理論値に近い現実値を引き出すことができると考えている」と語った。
ノベルクリスタルテクノロジーの担当者は「β型酸化ガリウムを『夢/未来の素材』ではなく、『現在』の材料として1日でも早く実用化につなげたいと考えている。研究レベルでは、既にSiCを超える特性を確認していて、2025年後半から2026年までには実用レベルに達する見込みだ」と語った。
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