富士電機は、「第1回 パワーデバイス&モジュール EXPO」(2024年1月24〜26日/東京ビッグサイト)に出展し、新幹線の省エネ化目的で使用されているSiC(炭化ケイ素)パワー半導体やxEV(電動車)用IGBTモジュールの分解/組み立てサンプルを展示した。
富士電機は、「第38回ネプコンジャパン」(2024年1月24〜26日/東京ビッグサイト)の構成展として初めて開催された「第1回 パワーデバイス&モジュールEXPO」に出展し、新幹線「N700S」の主変換装置に用いられているSiC(炭化ケイ素)パワーデバイスなどを展示した。
出展の狙いについて、富士電機 半導体事業本部 営業統括部 応用技術部長の大月正人氏は「富士電機のSiCパワー半導体は、大半が車載用途で使われていて、在庫は数年先まで抑えられている状況だ。そのため、SiCパワー半導体を積極的にアピールしてこなかった。しかし、一部で『富士電機はSiCパワー半導体(の開発)が遅れている』との声も聞こえてくるようになったため、今回は出展を決めた」と説明した。
富士電機は、同社のSiCパワー半導体の活用事例として新幹線N700Sに搭載されている主変換装置を紹介した。
主変換装置は、パンタグラフから取り込んだ電気を変換し、新幹線を動かすモーターを最適に制御する装置だ。主変換装置には、パワー半導体で発生する熱を冷やすための冷却器が備わっている。以前は送風機による強制風冷を行っていたが、電力損失の低いSiCパワー半導体を採用し熱の発生を抑えたことで、走行時に受ける風による自然冷却(走行風冷)が可能になった。
パワー半導体の電力密度の向上と冷却器の進化により、N700Sの主変換装置は、主変換装置が初めて導入された「300系」と比較して、出力を40%以上向上させつつ、重量は約70%削減することに成功した。
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