日本電波工業(NDK)と宇宙航空研究開発機構(JAXA)は国産の宇宙用QCM(Quartz Crystal Microbalance)センサー開発を目指す共創活動を開始したと発表した。2024年度の開発完了と2025年度の軌道上実証を目指す。
日本電波工業(NDK)と宇宙航空研究開発機構(JAXA)は2024年2月8日、国産の宇宙用QCM(Quartz Crystal Microbalance)センサー開発を目指す共創活動を開始したと発表した。この活動は、新たな発想の宇宙関連事業の創出を目指す「JAXA 宇宙イノベーションパートナーシップ(J-SPARC)」の枠組みのもとで行う。
QCMセンサー(高精度ガス計測センサー)は真空環境下において宇宙用材料などから放出されるガス(アウトガス)を計測するためのセンサーだ。宇宙空間では、プラスチックや接着剤等の材料から放出されるアウトガスによる汚染(コンタミネーション)が問題となっている。地球観測衛星や天文観測衛星の望遠鏡レンズ表面などでコンタミネーションが生じると、光学性能や画質が低下し、寿命が短くなるという。そのため、材料からのアウトガスの発生を可能な限り抑えられるよう、正確な計測結果に基づく部材選定が重要になる。
NDKとJAXAは既にQCMセンサー「Twin-QCM」を共同開発し、2017年4月から地上用途向けに国内外で販売している。Twin-QCMは、1枚の水晶振動子センサー上に参照用電極と計測用電極を設けるTwinセンサー方式によって、従来品よりも精度を高めているほか、消耗品である水晶センサーをユーザー自身で交換でき、メンテナンスの費用と時間を抑えられるという特徴がある。
今回の共創ではこの地上用モデルを応用し、宇宙用QCMセンサーの開発と軌道上実証、原子状酸素(AO)などの軌道上環境計測技術の確立を目指すとしている。NDKは宇宙用QCMセンサーの開発と顧客開拓を行い、JAXAは新たな用途の開拓と開発支援を行うという。
NDKとJAXAは、2024年度の開発完了と2025年度の軌道上実証を目指す。現在、QCMセンサーは米国製が主流だが、今回の共創により地上用/宇宙用ともに「国産QCMセンサーを世界的なスタンダードに押し上げる」(NDK、JAXA)としている。
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