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ルネサスがシーカンス買収を断念、TOBを中止今後もパートナーシップは継続

ルネサス エレクトロニクスは2024年2月23日、フランスSequans Communications(シーカンス・コミュニケーションズ)の買収に関する基本合意書を解除したと発表した。これにより2023年9月に開始した公開買い付け(TOB)も終了した。当初、買収は2024年第1四半期までに完了する予定だった。

» 2024年02月26日 10時00分 公開
[村尾麻悠子EE Times Japan]

 ルネサス エレクトロニクス(以下、ルネサス)は2024年2月23日、セルラーIoT(モノのインターネット)向けの無線チップおよびモジュールを手掛けるフランスSequans Communications(シーカンス・コミュニケーションズ/以下、Sequans)の買収に関する基本合意書を解除したと発表した。これにより2023年9月に開始した公開買い付けも終了。ルネサスはSequansの買収を実質的に断念する形となった。

 ルネサスは2023年8月に、Sequansを買収すると発表した。両社は、ルネサスがSequansの全株式を、公開買い付けにより取得することで基本合意書を締結。普通株式1株当たり0.7575米ドル、米国預託株式(ADS)1株当たり3.03米ドル(ADS1株は普通株式4株に相当)で現金買収するとして、同年9月11日に公開買い付け開始を発表した。その後、米国、英国、台湾、フランスの当局による承認を得たものの、公開買い付け期間を度々延長。直近では2024年2月20日にも延長する旨を発表していた。併せて、基本合意書に規定された組織再編を実施した場合、日本の租税特別措置法第66条の6に基づき、課税所得の計上および納税が必要となる旨の回答を東京国税局から得ていたことも発表した。

 さらにルネサスは、2024年2月15日に、東京国税局から日本税務に関する不利益裁定を受領。こうした経緯から、基本合意書に基づく解除権を行使し、公開買い付けも終了した。

 ルネサスはIoT事業の強化に向け、Dialog Semiconductor、Celeno Communications、Panthronicsを買収し、Wi-FiおよびBluetooth、NFC(近距離無線通信)のコネクティビティ技術を入手してきた。ルネサスはリリースで、今回の公開買い付け終了が同社の成長戦略に与える影響は軽微だとしている。なお、ルネサスとSequansは今後も、従来のパートナーシップを通じてセルラーIoTビジネスに関する取り組みを継続していくという。

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