ルネサス エレクトロニクスが、セルラーIoT向けプラットフォームを手掛けるフランスSequans Communications(シーカンス・コミュニケーションズ)を買収する。ルネサスは、コネクティビティ技術のさらなる強化を狙う。
ルネサス エレクトロニクスは2023年8月7日、セルラーIoT(モノのインターネット)向けの無線チップおよびモジュールを手掛けるフランスSequans Communications(シーカンス・コミュニケーションズ/以下、Sequans)を買収すると発表した。両社は、ルネサスがSequansの全株式を公開買い付けにより取得することで基本合意書を締結。ルネサスは、Sequansの米国預託株式(ADS)を含む発行済み株式の全てを、ADS1株当たり3.03米ドルで現金買収する公開買い付けを開始する見込みだ。Sequansの企業価値は2億4900万米ドルと評価されている。買収は、2024年第1四半期までに完了する予定だ。
Sequansは、LTE-M/NB-IoT向けの無線モジュールのプラットフォーム「Monarch」などの開発を手掛ける。2003年に設立された企業で、米国や英国、イスラエル、台湾、中国などに拠点を置く。
ルネサスとSequansは2020年10月から、MonarchをベースにしたIoTモジュールの開発で協業してきた。今回の買収により、ルネサスはセルラーIoTをはじめとするWAN(Wide Area Network)市場向けの製品ラインアップを強化することになる。
ルネサスはDialog Semiconductor、Celeno Communications、Panthronicsを買収し、Wi-FiおよびBluetooth、NFC(近距離無線通信)のコネクティビティ技術を入手してきた。Sequansの買収で、ルネサスが扱うIoT向けコネクティビティ技術の範囲が、さらに拡張される。
PAN(Personal Area Network)/LAN(Local Area Network)の分野でルネサスが持っている技術。Sequansの買収で、WANが加わることになる。ちなみにLTE-M/NB-IoTの通信距離は1〜10kmで、通信速度は数百キロビット/秒というイメージだ[クリックで拡大] 出所:ルネサス エレクトロニクスなお、Sequansは2023年8月7日(フランス時間)、2023年第2四半期(4〜6月期)の決算を発表したばかりだ。それによると同四半期の売上高は920万米ドルで、前四半期比で23.0%減少、前年同期比で35.6%減少した。粗利益は750万米ドルで、こちらも前四半期比、前年同期比で減少している。
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