マクニカは「テクニカルショウヨコハマ2024-第45回工業技術見本市-」(2024年2月7〜9日/パシフィコ横浜)に出展し、ペロブスカイト太陽電池や鉛蓄電池システム「soldam」を展示した。
マクニカは「テクニカルショウヨコハマ2024-第45回工業技術見本市-」(2024年2月7〜9日/パシフィコ横浜)に出展し、ペロブスカイト太陽電池や鉛蓄電池を展示した。同展示会では、「ペロブスカイト太陽電池による脱炭素社会の実現」と題した講演が行われ、マクニカ 社長兼CEO(最高経営責任者)の原一将氏の他、神奈川県知事の黒岩祐治氏、桐蔭横浜大学 特任教授でペロブスカイト太陽電池の発明者でもある宮坂力氏が登壇した。
黒岩氏は、ペロブスカイト太陽電池が実現する脱炭素社会について「これまでは、火力発電所や原子力発電所などの大きな発電所で発電した電気を供給する集中型電源の時代だった。しかし、今後は、各家庭が太陽光発電で発電した電気を“地産地消”する分散型電源の時代になるだろう。ペロブスカイト太陽電池は、“エネルギーの地産地消”を実現する革新的な技術だ」と語った。
ペロブスカイト太陽電池は、薄くて軽く、曲げられるという特長を持つ次世代の太陽電池だ。従来のシリコン太陽電池と比較して重量は100分の1、材料費は約半分でありながら、発電効率はシリコン太陽電池の最高効率である26.1%と比較して「遜色ない」(宮坂氏)という。高い柔軟性や透過性を持つことから、建物の壁や窓ガラスなどの他、カバンや帽子などでの活用も期待されている。
宮坂氏は、ペロブスカイト太陽電池を安価で製造できる理由について「ペロブスカイト太陽電池は、原材料が安く、大半を国内で調達できる。特に、主材料となるヨウ素の生産量は日本が世界第2位だ。また、材料を塗って乾かすだけで作成できるため、製造コストも非常に低く抑えられる」と説明した。量産化や社会実装については「企業努力次第ではあるが、早ければ2年後には実現する可能性もある」とコメントした。
桐蔭横浜大学発ベンチャーのペクセル・テクノロジーズ、薄膜加工品の製造/販売を行う麗光、マクニカの3社は、ペロブスカイト太陽電池の社会実装に向けた実証実験を大桟橋(横浜市)で2024年3月から開始する。港に面した特性を生かし、塩害などの苛烈な環境下や、曲面のある屋根の上に設置したり、より面積の大きいペロブスカイト太陽電池を使用したり、さまざまな条件下で実証を行う。
原氏は、「再生可能エネルギーは、天候によって発電できる電気量が変化し、安定しないため、余剰電力を貯蔵するための蓄電池が必要不可欠になる」と述べた上で、「マクニカは、安価でリサイクル性が高く、安全な鉛蓄電池システム『soldam』を開発した。蓄電池というとリチウムイオン蓄電池をイメージする人が多いと思うが、リチウムイオン蓄電池は高額で、リサイクルが難しいため、鉛蓄電池に注目した」と語った。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.