マクニカのブースでは、鉛蓄電池システム「soldam」が初めて展示された。
soldamは、1個1.2kWhの鉛蓄電池を6個組み合わせた7.2kWhの鉛蓄電池システムだ。一般的なリチウムイオン蓄電池に比べて約3分の1の価格(約30〜40万円)で、同程度の蓄電容量を持つ。全体の重量は300kgで、鉛蓄電池単体(1個)では45kgだ。ペロブスカイト太陽電池の他、既存の太陽光発電システムにも対応する。2024年4月から一部の顧客向けに販売を開始し、2024年後半からは本格量産/一般販売を予定している。
太陽光発電や鉛蓄電池(soldam)の状況は、マクニカのエネルギー管理システム 「Kisense(キーセンス)」を活用して遠隔監視が可能だ。soldamの耐久年数は10〜15年で、蓄電池の交換は高い蓄電効率を維持できる5年を目安に行えばよいという。
鉛蓄電池の特長について、soldamで使用する鉛蓄電池の開発を手掛けるサーキュラー蓄電ソリューション 社長の上岡功幸氏は「鉛蓄電池は100%リサイクルできるため、使用後に何度でも新しい鉛蓄電池として再利用できる。リチウムイオン蓄電池と異なり、発火などの心配がないため安全性も高い」と説明した。
家庭用の太陽光発電設備は、2009年に始まった「固定価格買取制度(FIT制度)」により、大幅に導入が進んだ。FIT制度とは、事業者や個人が再生可能エネルギーで発電した電力を、一定の期間(家庭用太陽光は10年間)、一定の価格で電力会社が買い取ることを国が約束した制度だ。
2019年以降は、固定価格での買い取り開始から10年間を経過して買取期間が満了する「卒FIT」を迎えた発電設備が増えている。卒FIT後は、電力会社への売電を継続するか、完全自家消費に切り替えるかなどを、太陽光発電設備の所有者が自身で判断することになる。経済産業省 資源エネルギー庁の発表(2019年)によれば、卒FITとなる発電設備は、2019年11月/12月だけで約53万件、2023年までに累積で約165万件に達する見込みだ。
マクニカ担当者は「soldamの主なターゲットは、卒FITとなる太陽光発電設備を保有する人だ」と説明した。
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