NTTは2024年3月25日、同社が独自開発した大規模言語モデル(LLM)「tsuzumi」の商用提供を開始した。まずはパラメーターサイズが70億のモデルを活用するサービスから提供を開始する。既に約500社/団体から案件ベースでの相談を受けているという。
NTTは2024年3月25日、同社が独自開発した大規模言語モデル(LLM)「tsuzumi」の商用提供を開始した。
tsuzumiは、パラメーターサイズが6億(超軽量版)または70億(軽量版)と軽量でありながら、「世界トップクラス」(NTT)の日本語処理性能を持つLLMだ。言語に加え、図表読解などのさまざまな形式に対応する。同社の試算では、学習コストを「GPT-3」規模のLLMと比較して、軽量版では25分の1、超軽量版では300分の1に低減できる。同じく推論コストをGPT-3と比較した場合、軽量版では20分の1、超軽量版では70分の1に低減できる。
今回商用サービス提供を開始したのは、パラメーターサイズが70億の軽量版モデルを活用するものだ。「CX(顧客体験)ソリューション」「業界・業務別EX(従業員体験)ソリューション」「IT運用サポートソリューション」という3つのソリューションを用意。利用環境は、顧客環境のオンプレミスやNTTグループのプライベートクラウド、パブリッククラウドの3種類から選択でき、いずれも機密/機微情報を安全に扱うことができる。
CXソリューションは、コンタクトセンターや店舗、ECサイトなどにおける顧客接点でのCX向上を支援する。
NTTは、店舗DX(デジタルトランスフォーメーション)に向けて、富士薬品と共同でバーチャルコンシェルジュによる未来型小売モデルの実証を行っている。NTT独自技術を掛け合わせて実現したデジタルヒューマンと生成AIを掛け合わせることで、顧客に合わせたカウンセリングや、嗜好に合わせた製品紹介などを行う。
業界・業務別EXソリューションは、業界/業務に合わせて最適化したtsuzumiの活用により、生産性向上およびEX向上を支援する。
NTTは、行政業務の情報を学習した業務特化型生成AI(人工知能)の効果検証に向け、福井県と共同で、tsuzumiの活用可否の検討を開始した。県民からの問い合わせ対応への活用や、既存のチャットボットに対するシステム関連の問い合わせ結果とtsuzumiによる回答結果の比較などを行っている。
IT運用サポートソリューションは、在宅勤務などのさまざまな働き方をセキュアに実現するための、IT運用や社内ヘルプデスクの効率化/高度化を支援する。
自動化ソリューションを活用したサイバー攻撃の自動検知、自動分析、自動対処に加え、tsuzumiを活用したオペレーション支援により、積年の課題である「マルウェアなどの脅威への対応」と「セキュリティ人材不足」の双方向からの支援を行う。
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