日本AMDは2024年4月に都内で記者説明会を開催。AMDでプレジデントを務めるVictor Peng氏が、エッジAI(人工知能)向けの製品やAMDの強みなどについて語った。
日本AMDは2024年4月4日、都内で記者説明会を開催し、エッジAI(人工知能)におけるAMDの強みや立ち位置について語った。説明会では、旧XilinxのCEO(最高経営責任者)で、現在AMDのプレジデントとしてAI戦略全般を担当しているVictor Peng氏が登壇。「AMDは、クラウド向けからエンドポイント向けまで、エッジAIの実現に向けた幅広い製品ポートフォリオを持つ、ユニークな位置付けのメーカーだ」と強調した。
日本AMDの代表取締役社長でコーポレート・バイス・プレジデントを務めるJon Robottom氏は、「AMDはエッジAI周りに多大な投資をしてきた。AIアプリケーションの中で重要になるDX(デジタルトランスフォーメーション)では、膨大な電力を使用する。われわれは単なる性能ではなく、電力当たりの処理性能、つまり電力効率においてトップを目指す」と語った。
Peng氏は、AMDのエッジAIにおける強みを3つ挙げる。「学習、推論向けの豊富なポートフォリオ」「オープンなソフトウェア」「さまざまなパートナーで構成されたエコシステム」だ。
製品ポートフォリオについては、クラウド向けの「Instinct MI300X」、クラウド/エンタープライズ向けのプロセッサ「EPYC」、ゲーミング向けGPU「Radeon RX 7000シリーズ」、組み込み向けのFPGAである「Versal」、ノートPC向けのAIプロセッサ「Ryzen AI」など、学習と推論を実行するCPU、GPU、FPGAがそろっている。
とりわけ、生成AIやHPC(高性能コンピューティング)のワークロード向けとして2023年12月に発表されたGPU「Instinct MI300X」やAPU(Accelerated Processing Unit)「Instinct MI300A」については、「真のAI処理を実行できる半導体」(Peng氏)と強調。いずれもチップレット技術や2.5D(次元)/3Dパッケージング技術を用いた製品で、NVIDIAのGPU「H100」の対抗馬と位置付ける。Peng氏は、両製品ともに発表後も最適化を図り、Instinct MI300Aでは、NVIDIAのH100に比べて低い消費電力で6倍の性能を実現したと語った。
なおAMDは2024年4月16日(米国時間)、ビジネス用AI PC向けの新しいプロセッサとして「AMD Ryzen PRO 8040シリーズ」と「AMD Ryzen PRO 8000シリーズ」を発表したばかりだ。一部の品種を除き、Ryzen AIを搭載することで高速かつ高い電力効率のAI演算処理を実現するという。
AI開発ソフトウェアでは、GPU向けの「ROCm」、CPU向けの「ZenDNN」、FPGA向けの「Vitis AI」がある。Peng氏は「当社は、GPUであれCPUであれ、オープンソースのAIモデルやアルゴリズムを活用したり実装したりできることを目指している」と述べる。
Peng氏は説明会の中で「オープンソース」という言葉を何度も繰り返した。Ryzen AI向けの開発ソフトウェア(Ryzen AIソフトウェア)を紹介する際も、「オープンソースを活用し、AIをより安価かつ身近に利用できるソリューション開発に貢献する。われわれはAIを“民主化”していきたい」と語った。なおAMDは現在、Ryzen AIソフトウェアの第2世代を開発中だという。
Peng氏はさらに、「重要なトレンドとして、当社も多くのAI開発者から『特定のサプライヤーにしばられたくない』という要望を受けている」と言及。そうしたニーズを踏まえて、ROCmに移行しやすい環境を整えるなど、AMDプロセッサに移行する際の障壁を下げると述べた。
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