Intelは、同社の年次イベント「Intel Vision 2024」にて、エッジからクラウドまであらゆる所でのAI(人工知能)の活用を目指す「AI Everywhere」戦略に関する製品や戦略を説明した。
過去2年間、あらゆるテクノロジー企業がAIの時流に乗ってきた。大手企業は現在、自社をエンドツーエンドのAIソリューションプロバイダーとして位置付けようとしている。Intelも同様だ。同社は、2024年4月8〜9日にアリゾナ州フェニックスで開催した年次イベント「Intel Vision 2024」で、エッジからクラウドまであらゆる所でのAI(人工知能)の活用を目指す「AI Everywhere」戦略に関する製品を相次いで発表した。本稿では同イベントでのIntelの説明を基に、IntelのAI関連の各製品や戦略を紹介する。
企業向けに焦点を当てた同イベントで、IntelはPC/IoT(モノのインターネット)/データセンターという3つの主要分野に焦点を当てたエンドツーエンドのソリューションをアピールした。Intelのソリューションの鍵となる理念は「オープン性」だ。同社は、顧客企業が使いやすく安全でカスタマイズされたAIソリューションを構築できるよう、オープンなエコシステムを推進しているという。
Intelによるとこのオープンなエコシステムとは、「Core」「Xeon」などのプロセッサ、GPU「Arc」、AIアクセラレーター「Gaudi」やIPU(Infrastructure Processing Unit)などのハードウェア上で実行されるオープンなアプリケーションやソフトウェア、インフラストラクチャを意味するものだ。
Intelは同社のAI戦略について、2023年に発表したプロセッサ「Core Ultra」(開発中のコードネームは「Meteor Lake」)搭載のAI PCから紹介した。同社は、Core Ultraを搭載した230以上の商用AI PCが開発されることを見込んでいて、エッジAIアプリケーションを手掛ける独立系ソフトウェアベンダー(ISV)100社以上と協力している。IntelのCEO(最高経営責任者)であるPat Gelsinger氏はIntel Vision 2024で、「Lunar Lake」と呼ぶ次世代Core Ultraプロセッサを発表し、同製品の発売が近いことを示唆した。
産業用IoTなどのエッジAIアプリケーションに関しては、組み込み技術の展示会「embedded world 2024」(2024年4月9〜11日、ドイツ ニュルンベルク)にてCore Ultraの新製品、Coreや「Atom」といったプロセッサ、ArcのほかAlteraのFPGA製品についても説明した。PC向けプロセッサアーキテクチャをベースとするCore UltraとCoreの新しい組み込みプロセッサは、AIビジョンのような産業用アプリケーション向けに、より高い処理能力とグラフィックス/AI処理機能を提供するという。
プロセッサ「Atom x7000Cシリーズ」は最大8個のCPUを搭載し、ネットワーク/通信アプリケーションを対象とした製品。「Atom x7000REシリーズ」は産業用途の製品だ。ArcシリーズのディスクリートGPUは、AI性能に加え、エッジアプリケーション向けのメディアとグラフィックス処理機能を提供するものだという。
さらに、Intel傘下のAlteraの新しい製品ファミリー「Agilex 5」も利用可能になった。AlteraのCEOであるSandra Rivera氏は、同製品を「ファブリック全体にAIを組み込んだ初めてのFPGA」と説明した。同製品は「Mobile World Congress 2024」(2024年2月26〜29日、スペイン バルセロナ)で発表された「Intel Edge Platform」によってサポートされる。
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