図5は中国vivoが2023年末に発売したハイエンドスマートフォン「X100 Pro」の様子である。X100 ProにはMediaTekの最上位プラットフォーム「Dimensity 9300」が採用されている。MediaTekもチップセットとなっており、トランシーバーや電源ICなどもMediaTek製だ。ただしRFパワーアンプやメモリは他社製なので“自給率”はQualcommやSamsungに比べて低い。また電源ICやトランシーバーは前モデルの「Dimensity 9200」から流用されているものが多い。
図6はDimensity 9300のシリコン開封の様子である。QualcommのSnapdragon 8 Gen 3と同じくTSMCの4nmで製造されている。CPUは8コア、GPUはArmのG720を12コア搭載する。Qualcomm、Samsungが3階層のCPU(高性能、中位、高効率)であったのに対してMediaTek Dimensity 9300は「高効率コアを持たない、高性能4コア、中位4コア」で、性能重視の特徴を持っていることが分かる。AIエンジンはMediaTek独自の「APU 790」を搭載し33TOPSの演算性能を実現する。ちなみに、チップ上の搭載トランジスタ数をめったに公表しないMediaTekだが、Dimensity 9300については、搭載トランジスタ数が227億個と公表している。この数字はAppleの3nmプロセッサ「A17 Pro」の190億個よりも20%ほど多い。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.